”冷ややかな音”を聞くことのない世界へ

川越さんがラジオDJとしてまた、教誨師して塀の中の受刑者と向き合い続けるには訳があります。
川越さん
「必ず『ガシャーン』って音がする。その音はね、この刑務所でしか聞くことのできない冷ややかな音。冷たい音です。隔離された彼らにとっては、この音は二度と聞きたくないだろうなと」「この音を聞くことのない社会復帰を早くしてくれればいいなと」
そんな思いを込めて46年間。500回の放送になります。
番組では、毎回一つのテーマを設定し200文字のメッセージとリクエストを募っていて、受刑者から毎回20通ほど寄せられます。
500回目のテーマは「私の応援ソング」。
川越恒豊さん「こんばんは。DJの先生方。今回で730リクエストアワーが500回記念と聞きびっくりしています。これからもぜひ、継続して放送してもらいたいと願っています」
受刑者「私の帰りを待ってくれている家族のために、今回の受刑生活を無事、無事故で乗り切りたいので、リクエストお願いします」
若者に人気の女性グループリトルグリーモンスターのエコーをリクエスト。流す曲も46年の間でずいぶん変わりました。
川越恒豊さん「みなさん昔と音楽が全然中身が違いますね。昔はね、任侠ものとか演歌とかね。」
ラジオを通した言葉と心のキャッチボールで川越さんは受刑者たちにエールを送り続けます。
川越恒豊さん
「必ずここにいた受刑者はいつか社会復帰するわけですから。その社会復帰したときの、人生の手土産に(このラジオを)していってもらいたいなと」「笑いある、人生豊かな放送をしていきたいね。それだけの足を私たちは歩いて来たわけだから。まだ歩いていくつもりです」
放送は、毎月最終月曜日。時間は、午後7時半から消灯時間の9時までの1時間半。昨夜も塀の中で静かに川越さんの声が受刑者の心に響きました。
川越恒豊さん「『継続』にまつわる、お話を書いてリクエストくださいっていうのが501回の放送のテーマです」「それじゃきょうはそういうことです。おやすみなさい」