1)物価高騰が続く中、最も効果的だと考える対策を具体的にご提示ください。特に、消費税の見直し(減税・廃止・据え置き)や現金の給付策に関する具体的な方針と、その財源についてお聞かせください。

●「減税か給付か」ではない。減税も給付も必要。
●生活応援としての減税メニューは所得税減税、自動車ユーザー向け減税。
●さらに奨学金減税なども実施すべき。
●ただし、減税は一定時間がかかるため、給付で迅速かつダイレクトに家計を支援。
●財源は税収増等を活用。
●消費税について。生きていく上で欠かせない飲食料品の軽減税率については、福祉政策として恒久的に引き下げるべき。一時的な物価高対策として引き下げることは適切ではない。

2)コメの安定供給のための具体的な政策をお聞かせください。

今般の米価格高騰を踏まえ、米の安定供給と価格抑制に向けて、消費者と生産者がともに納得できる抜本的な改革を断行すべき。流通実態の把握を進めるとともに、中長期では増産方針を明確に示して、収益の上がる生産体制の構築に全力を注ぐべき。

<参考(重点政策集)>
コメの安定供給と価格抑制に向け、公明党は備蓄米の活用に道を開き、店頭価格の引き下げに努めてきました。今般、これまでの取り組みに加えて、備蓄米の売り渡し方法の見直しや、これまでの売り渡しで生じた差益分を活用した流通経費等への支援を新たに要請し、5キロで2千円程度の備蓄米が流通し始めました。引き続き、国民が対策の効果を十分に実感できるよう、あらゆる手立てを講じてコメの価格高騰対策に取り組むとともに、来年以降こうした事が起こらないよう、生産者への支援を含めた抜本的な対策を講じます。

・適正価格での流通を促し消費者の不安に応えます
消費者と生産者が納得できる価格に落ち着くよう、肥料・燃料等の生産・流通コストの増加を適切に反映するとともに、きめ細かな流通実態調査と取引適正化に向けた監視機能の強化を推進します。

・生産性向上とセーフティネット対策により生産者の不安に応えます
コメの安定供給を確保するため、コメを増産します。農家の所得向上に向けて生産性を向上させるため、農地の大規模化・集約化、担い手の育成支援、スマート農業や高温に強い品種の導入を推進します。
大規模化が難しい中山間地域についても、国土を守る上で欠かせない地域であることから、安心して営農できるよう支援を強化します。
コメの価格が急落する恐れがある場合には、当面は政府が備蓄米を買い戻すことによって流通量を調整し農家を守ります。また、価格下落や不作時など農家の経営リスクを支えるセーフティネット対策については、収入保険の拡充などにより万全を期します。

3)現在の日本経済の最大の課題は何だと認識しており、その課題解決のために最優先で取り組む経済政策は何ですか。具体的に、いつまでに、どのような改善を目指しますか。

長く続いた「コストカット型経済」から「成長型経済」へと転換する事が目下最大の課題。物価高を上回る持続的賃上げを実現する必要がある。その最大のカギを握るのは、雇用の7割を抱える中小企業の「稼ぐ力」をどう伸ばすか。価格転嫁、5年間で60兆円の集中的投資、デジタル化・省力化などの生産性向上を推し進めるための施策を強力に実行。

※あらゆる政策を総動員。様々な課題に同時並行で対応する上で、敢えて最優先課題を述べれば上記。

<参考(重点政策集)>
現役世代の所得を引き上げ、生活水準の向上につなげていくためには、長年続いてきたコストカット型経済から脱却し、賃上げと投資がけん引する成長型経済への移行を確実なものとする必要があります。そのためには、重点分野の成長投資や生産性の向上、人への投資の拡大に取り組むとともに、こうした政策を実行するための財源をつくり出し、経済のパイの拡大、労働分配率の引き上げを実現し、国民一人ひとりの所得増加につなげます。
また就職氷河期世代の皆さんを全力で支援します。

【奨学金減税】
若者世代を中心に奨学金の返済が生活の重荷になっていることから、さまざまな負担軽減策を実行します。まず、月々の返済額を自分で決められる「減額返還制度」の年収制限の緩和や、企業や自治体が行う「代理返還制度」の導入メリットの拡大など、より多くの方が利用できるよう制度を拡充します。加えて、奨学金返済額の一定割合を所得控除できる仕組みなど、税制における支援を検討します。

【「正社員待遇」が当たり前に】
・同一労働同一賃金の実現で「正規/非正規」概念なくす
同一労働同一賃金の実現を通して従来の「正規/非正規」という概念をなくし、どのような雇用形態を選んでも、賃金などの労働条件に格差が出ないよう、「正社員待遇」が当たり前の社会をめざします。同時に、リ・スキリング(学び直し)やスキルアップなどに取り組む労働者への支援を充実し、所得の向上につなげます。

【もう少し働ける社会へ 】
本人の希望に応じて、働きたい時にもう少し働ける社会へ、労働者の健康を第一に、労働時間のルールの見直しや多様で柔軟な働き方を推進し、所得アップにつなげます。

【エッセンシャルワーカーの所得向上】
公定価格で運営される医療・介護・障がい福祉・子ども子育て分野における物価・賃上げコストの適切な反映や建設業における設計労務単価の着実な引き上げ、事業間取引における労務費を含めた適正な価格転嫁などを通じて、エッセンシャルワーカー※の所得を抜本的に引き上げます。

※日常生活の維持に必要不可欠な仕事(医療・介護・保育・物流・建設等)に従事する労働者

【中小企業の稼ぐ力を向上させ、働く人の給料を増やす】
・賃上げを集中的に支援
雇用の7割を占める中小企業が、物価上昇を上回る賃上げができるよう、価格転嫁等による取引適正化の徹底や、5年間で 60 兆円の投資を集中的に行います。特に、サービス業など、最低賃金引き上げで大きな影響を受ける、人手不足が深刻な業種については、省力化やデジタル化をきめ細かく支援し、生産性の向上を実現します。

・中小企業の「稼ぐ力」を向上
デジタル人材の育成・配置などで中小企業のDX化を進め、省力化・業務効率化投資による生産性向上で中小企業の「稼ぐ力」を向上させ、働く人の給料を増やします。

・最低賃金を 2020 年代に 1,500 円に引き上げ
最低賃金を 2020 年代に全国加重平均 1,500 円まで引き上げ、中間所得層を含め、着実に給料を増やします。

・「106 万」「130 万」の壁を意識せずに働ける仕組みを構築
社会保険料負担の発生で手取り収入が減ってしまう「106 万円」、「130 万円」の壁を見直し、壁を意識した就業調整をすることなく、働いた分だけ給料が増えるよう支援します。あわせて、誰もが希望に応じて働くことができる柔軟な働き方を推進します。

・世界中にメイドイン JAPAN を!中小企業の輸出支援
日本の優れたさまざまなプロダクトやサービスの国際標準化を進めるとともに、中小企業を含む日本ブランドの海外展開を推進します。また、海外展開に挑戦する中小企業等を支援するため、政府保証を付けた投資等の拡充を図る取り組みを進めます。

【新たな財源をつくり出す】
・日本版「ソブリン・ウェルス・ファンド」の創設
財政を育て政策実現の財源を創出するため、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)等の経験を活用し、国の資産を計画的に運用していく新たな仕組みとして、日本版「ソブリン・ウェルス・ファンド※(政府系ファンド)」の創設をめざします。
※ソブリン・ウェルス・ファンド(Sovereign Wealth Fund, SWF)は、政府や中央銀行が運用する投資ファンドのこと。政府系ファンドとも呼ばれる

4)経済政策の実施にあたり、財政健全化と経済成長のどちらに重きを置きますか。また、プライマリーバランスの黒字化目標など、具体的な財政目標について、その達成時期などについてもお示しください

●「経済成長なくして財政再建なし」との考え方のもと、経済成長と財政健全化の両立を果たしていく。将来にわたって持続可能な経済・財政・社会保障を確保する観点から、骨太方針 2025 に記された財政健全化目標に着実に取り組み、財政の信認確保に努めることが重要。
●その上で、経済状況の急変などには、機動的な財政出動も含め、柔軟に対応すべき。
●今後の新たな財源確保に向けて、
1)国の基金の不断の見直しを継続し、必要な基金改革を着実に実行。
2)国の資金を会計間で融通するキャッシュプーリングの手法を用いて、利息負担を抑制し、効率的な資金管理を推進。
3)国の資産を計画的に運用して財源を“育てる”「日本版ソブリン・ウェルス・ファンド(政府系ファンド)」の創設に向けて議論を開始。

5)少子化が加速する中、子育て支援策として、どのような抜本的な対策を講じられますか。

●子育て・教育、医療、介護など、生きていくために不可欠なサービス(ベーシックサービス)を無償化し、誰もが安心して生きていく事が出来る社会への転換が必要。

●その理念に基づいた「子育て応援トータルプラン」を提案している。これは、結婚・妊娠・出産から子どもが社会に巣立つまでの切れ目ない支援策をパッケージで示したもの。

<参考(重点政策集)>
妊娠・出産から子どもが社会に巣立つまでの切れ目のない支援策を充実するために、公明党が提唱した「子育て応援トータルプラン」を踏まえ、児童手当の抜本拡充や妊娠・出産期の伴走支援、高等教育の無償化拡大などが着実に実現しています。子育ての不安を解消し、子どもを持ちたいと希望する人が安心して子どもを産み育てられるよう、さらに支援を充実し、子育てのトータルな安心を確保します。

・妊娠・出産の無償化、産後ケアの充実
妊婦健診や分娩費用など妊娠・出産に係る基礎的な費用を無償化するとともに、産後ケアの充実など安心して子どもを産み育てられる支援を強化します。

・こども誰でも通園制度
就労要件を問わず時間単位等で柔軟に利用できる「こども誰でも通園制度」について、保育人材の不足や利用時間等の課題の解消を図りつつ、地域の実情に応じた取り組みを進めます。

・不登校支援
さまざまな理由で不登校になっても、自分らしく多様な生き方ができるように、学びの多様化学校(不登校特例校)の全都道府県・政令指定都市への設置やスペシャルサポートルームの全小中学校への設置、フリースクールなどの安心できる居場所の確保に取り組みます。
不登校による保護者の離職防止のため、保護者の相談・支援の強化、企業における不登校の介護休業等の柔軟な働き方への対応、総合的な情報サイトの設置を推進し、不登校の児童・生徒と家族を社会で支えます。

・教育の質の向上
子どもたち一人ひとりにきめ細かい教育を実現するため、小中学校 35 人学級を推進し、将来的には小中学校 30 人の少人数学級をめざします。スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーなどの配置や、GIGA スクールの推進など、多様な子どものニーズに合わせ、柔軟な学びができ、子どもが生きる歓びに輝く公教育へ質の向上に取り組みます。

・仕事と育児を両立しやすい職場環境の整備
男女ともに着実に育児休業を取得できるよう、休業取得者の周囲の労働者への応援手当を支給する等、育児休業を支える体制を整備する中小企業への助成制度の利用を促進します。
1時間単位で有給休暇を取得できる制度や、フレックスタイム制度、テレワーク等の導入を促進し、子育てしやすい「柔軟な働き方」を推進します。

・「小1の壁」打破へ 放課後児童対策を強化
放課後における子どもの安心・安全な居場所を確保し、「小1の壁」を打破するため、「放課後児童クラブ」などの受け皿の拡大に取り組むとともに、開所時間の延長や夏季休業中の対応など待機児童対策の充実に向けた支援を強化します。

6)近年の政治資金をめぐる問題を受け、政治資金規正法の改正についてどのような姿勢で臨みますか。特に、企業・団体献金の是非について具体的にお聞かせください。

●昨年の臨時国会で、自民党派閥の政治資金問題を受けて、違反行為への罰則強化を行った。その際、公明党の主張で第三者機関(政治資金監視委員会)の設置が決定。詳細な制度設計についても継続議論している。使途を公開する必要のない政策活動費についても、公明党が廃止を主導した。

●企業・団体献金については、規制強化をすべきとの考え。禁止をすると、かえってお金の流れが不透明になってしまう。例えば、企業が個人で寄付するようになれば、企業と政治団体の関係が見えなくなる。

●カネの流れの透明性を高めた上で規制を強化し、不正の温床とならない仕組みづくりが何より重要。各党の主張は依然、隔たりがあるが、公明党が橋渡し役となって幅広い合意形成をめざす考え。

7)憲法改正について、どのような立場をとられますか。改正に賛成の場合、改正の対象とする条項についてお聞かせください

●3原理を堅持しつつ、時代の変化に応じて必要な規定を加える「加憲」を検討すべき。
●例えば、緊急事態における国会機能の維持を念頭とした議員任期の延長など。

8)選択的夫婦別姓制度について、どのような立場をとられますか。導入に賛成ですか、反対ですか。その理由とともにお聞かせください。

●人権の観点から別姓を選択できる仕組みを制度上設けるべき。
●また同姓を選択した上で通称使用したい方もいる。よって、別姓制度を導入した上で通称使用の拡大も進めるべき。
●一方、国民理解が追い付いていない現状もある。十分な国民理解のもと進める。

<参考(重点政策集)>
公明党は、個人の選択の自由と多様な家族のあり方を尊重する観点から、結婚の際に夫婦が同姓または別姓を選ぶことができる「選択的夫婦別姓制度」の導入を推進しています。個人の氏名は単なる「呼称」ではなく、その人の「アイデンティティ」そのものです。しかし、現行の制度では、結婚する際に夫婦どちらかの姓に決めなければなりません。
一方で、社会の根幹に関わる問題であり、個人の権利や多様性の尊重、家族観や子どもの姓、社会システムへの影響などの論点に関して、各党でさまざまな意見があり、さらなる国民的な議論が必要です。
公明党は、1996 年の法制審議会答申を踏まえた上で、現行の戸籍制度を維持しながら、国民の分断や新たな差別が生じないよう、幅広い合意形成を図りつつ、引き続き「選択的夫婦別姓制度」の導入実現に取り組んでまいります。

9)今回の選挙戦で特に注力している選挙施策があれば教えてください。

●公明党は大衆政党。人々とのコミュニケーションを何より大事にしてきた。リアルとネット(SNS)を組み合わせ、さらに声なき声を拾い上げる取り組みを強化している。

例)ネットを活用して若者・現役世代などのニーズを寄せて頂くアンケート運動「We-Connect-Project」を実施し、10 万人以上の声を髄所に政策に反映。特に「奨学金減税」などの政策はその象徴的なもの。