1)物価高騰が続く中、最も効果的だと考える対策を具体的にご提示ください。特に、消費税の見直し(減税・廃止・据え置き)や現金の給付策に関する具体的な方針と、その財源についてお聞かせください。
今、特に家計を苦しめているのは、食料品の高騰です。民間の調査では、今年1年間で2万品目以上が値上がりするとの見通しも示されています。特に厳しいのはコメで、足元の平均価格は4000円/5kgを割り始めていますが、それでも昨年の約2倍の値段であることには変わりありません。一方で、物価上昇を加味した実質賃金の上昇率はマイナスですから、当然家計は苦しい状況にあります。
こうした状況に鑑み、私たちは、臨時・時限的に、食料品に係る消費税を8%から0%へと引き下げることを提案しています。減税の期間については、まずは1年間とした上で、経済情勢等を見ながら1度のみ延長可能とし、最大でも2年としたいと考えていますが、これは法律に明記をすることで、実効性を担保します。
ただし、減税には法改正や事業者の準備等に一定の時間を要する関係で、早くとも来年4月からの開始となるため、それまでの間は、1人あたり2万円の「食卓おうえん給付金」(食料品に係る消費税の半年分に相当)を迅速に給付し、当座の国民生活を支えます。なお、この給付金は、所得税・住民税の課税対象とすることで、実質的に所得の多寡に応じた給付とします。
これらの財源については、赤字国債(借金)に頼ることなく、積み過ぎ基金の取り崩し、外国為替資金特別会計(外為特会)の剰余金の活用、租税特別措置などの税制の見直し、一般会計・特別会計予備費や税収の上振れの活用等により確保し、財政に対する責任も、今の国民生活に対する責任も果たす「責任ある減税」を実行します。
なお、消費税の負担軽減策について、私たちとしては、国民が負担する消費税の一部を所得の多寡に応じた給付等の形で実質的に還付する「給付付き税額控除」の導入により対応するのが理想的であると考えています。ただし、同制度の設計・準備等には一定の時間を要するため、まずは食料品の消費税ゼロ%で対応し、これが終わり次第、「給付付き税額控除」に速やかに移行できるようにします。これにより、とりわけ中低所得者層の消費税負担について、恒久的に軽減できるようにします。
2)コメの安定供給のための具体的な政策をお聞かせください。
かつて実施された農業者戸別所得補償制度をバージョンアップし、食料と農地を守る直接支払「食農支払」(食料確保・農地維持支払)制度を創設します。併せて、農家の激減に対応するため就農支援の資金を10倍に強化・拡充し、新規就農対策も推進します。
3)現在の日本経済の最大の課題は何だと認識しており、その課題解決のために最優先で取り組む経済政策は何ですか。具体的に、いつまでに、どのような改善を目指しますか。
日本経済最大の課題は、実質賃金が上がらないことです。この間、十分に賃金が上がらず、非正規雇用が増え、格差が拡大し続けたのは、自民党政権のマクロ経済政策や雇用政策の失敗に他なりません。実際に、諸外国では労働生産性の向上に伴い実質賃金が上昇してきましたが、我が国においては、過去30年間で労働生産性は約3割上昇したものの、実質賃金は横ばいです。一方で、トリクルダウンを志向したアベノミクスの影響もあり、企業収益と株主還元額は過去最高を更新し続けています。
私たちは、この課題を解決するため、「賃上げ・雇用を中心とする経済政策」への大転換を掲げています。具体的には、既に政府の方でも検討が進んでいますが、コーポレートガバナンス・コード(企業統治指針)を改定し、賃上げに関する情報開示を一層促進することなどにより、企業の行動変容を促し、企業利益が賃金に真っ先に回る経済を作り上げていきます。併せて、希望すれば誰もが正社員になれるよう「労働基本法」を制定するなど、働き方や処遇に不当な格差のない労働法制を整備していきます。これらの政策を総合的に推進することで、賃金と「じぶん時間」を十分に確保し、GDPの5割以上を占める個人消費を活性化させて、経済の好循
環を実現します。
4)経済政策の実施にあたり、財政健全化と経済成長のどちらに重きを置きますか。また、プライマリーバランスの黒字化目標など、具体的な財政目標について、その達成時期などについてもお示しください
財源を明確に示す「責任ある経済政策」で、「財政健全化」も「経済成長」も実現します。
私たちは、物価高対策として「食料品の消費税ゼロ%」や「ガソリンの暫定税率廃止」などの減税を主張していますが、これらは物価を直接的に引き下げるものです。物価が引き下がれば、家計の実質購買力が向上しますので、GDPの5割強を占める消費が活性化し、経済の成長が期待できます。
これらの財源については、赤字国債(借金)に頼ることなく、積み過ぎ基金の取り崩し、外国為替資金特別会計(外為特会)の剰余金の活用、租税特別措置などの税制の見直し、一般会計・特別会計予備費や税収の上振れの活用等により確保します。「財源なくして政策なし」です。私たちは、財政に対する責任も、今の国民生活に対する責任も果たす「責任ある減税」を実行します。
財政健全化目標について、政府は今回の「骨太の方針」で、基礎的財政収支(PB)の黒字化目標の達成時期を事実上後退させましたが、まずは元々の目標であった「2025年度」の黒字化を実現すべきです。その上で、今後については、金利が上昇しつつある現下の情勢を踏まえ、PBではなく、利払い費を含む財政収支を目標として用いることなども検討すべきと考えます。また、債務残高対GDP比についても、「安定的な引下げ」という定性的な目標ではなく、数値目標を掲げるなどして、持続可能な財政運営の実現に真摯にコミットする必要があると考えています。
5)少子化が加速する中、子育て支援策として、どのような抜本的な対策を講じられますか。
OECD加盟国の中でも最低水準とされている日本の子ども・子育て関連予算について積極的な積み上げを行い、子どもの学びや育ちを社会全体で支えます。公教育を充実させ、0~2歳も含めた就学前教育・保育の無償化、給食無償化、教材費や制服代など隠れ教育費の負担軽減、奨学金返済の負担軽減、国公立大学の授業料無償化と私立大学・専門学校の授業料の負担軽減など「教育の無償化」を進めます。また、児童手当を月1万5千円に増額し、児童扶養手当は所得制限の上限を大幅に引き上げて受給世帯を拡充します。保育士の処遇改善と保育の質確保、朝の預かり事業への支援など子どもの居場所づくりにも取り組みます。日銀が保有するETFは、簿価で政府に移管した上で、その分配金収入と売却益を、子育て支援策等の財源に充当します。
6)近年の政治資金をめぐる問題を受け、政治資金規正法の改正についてどのような姿勢で臨みますか。特に、企業・団体献金の是非について具体的にお聞かせください。
企業・団体献金は、金権腐敗政治や利権・癒着政治の温床ともいわれ、資金力のある特定の団体などのために政治・政策決定がゆがめられるおそれが大きいものです。「平成の政治改革」で、政治家個人・政治家の資金管理団体への献金が禁止されましたが、政党助成制度が導入された以降も、政党本部・支部への企業・団体献金は引き続き認められ、その全面禁止が30年来の宿題となっています。
3月末までに結論を得ることになっていましたが、衆議院政治改革特別委員会で企業・団体献金に関してこれまで熱心な議論を積み重ねてきたものの、残念ながら各党各会派による幅広い合意を得ることができませんでした。この後どのような議論がいつまでに進められるのかすら、期限をつけた合意が、自民党の反対でなされていない状況であり、極めて残念です。自民党の態度は、企業・団体献金禁止に関して、全く何も決まらない方がいいという、信じられないほど無責任なものです。
問題の発端は自民党の裏金問題であり、裏金の原資は政治資金パーティーの収入、形を変えた企業・団体献金だからこそ、企業・団体献金を禁止しようというのが大きな世論となっています。自民党派閥パーティーの裏金事件で地に落ちた政治に対する信頼を取り戻すべく、企業・団体献金に関して全面禁止を実現しなければなりません。あわせて政治資金の徹底的な透明化、政治家本人の責任・罰則強化、外部監査の対象拡大等に取り組みます。
7)憲法改正について、どのような立場をとられますか。改正に賛成の場合、改正の対象とする条項についてお聞かせください
反対。
日本国憲法が掲げる立憲主義、平和主義、基本的人権の尊重という理念を重視します。いま必要なのは、改正でなく、憲法の理念を現実の政治にどう生かすかということです。解散権濫用防止法を制定し、解散権の恣意的な行使を規制します。臨時国会召集期限の明記、政府の情報公開義務、地方自治の充実について議論を深めます。自民党の9条改正案は、平和主義を空文化させるもので、反対します。
8)選択的夫婦別姓制度について、どのような立場をとられますか。導入に賛成ですか、反対ですか。その理由とともにお聞かせください。
賛成。
夫婦同姓しか認めない不寛容な制度は世界で日本だけです。国連の女性差別撤廃委員会から実に4 回も勧告を受けているにもかかわらず、日本政府は未だ選択的夫婦別姓を実現しません。1996 年の法制審議会答申を受けてもなお法案を提出しない自民党政権ではジェンダー平等は実現しません。立憲民主党は、95%もの夫婦で妻が改姓する不平等な法制度を改めるべく、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚した民法改正案を提出しており、選択的夫婦別姓制度を早期に導入します。
9)今回の選挙戦で特に注力している選挙施策があれば教えてください。
物価高が国民を苦しめています。コメを含む数千品目の食料品やガソリンの高騰が続き、物価高に賃上げが追いつきません。「食料品の消費税0%」「ガソリン・軽油価格の引き下げ」「適正なコメ価格の実現」などを軸に物価高対策に取り組み、物価高から、あなたを守り抜きます。
与党過半数割れの衆議院では、暫定税率を廃止し、ガソリン価格を引き下げる法案は野党が一致して可決しましたが、参議院では自・公が多数なため成立させることができませんでした。参議院でも与党は過半数割れにもちこみ、責任ある物価高対策と確実に賃上げにつながる政策を進め、失われた30年に終止符をうち、豊かな日本を復活させます。