環境への配慮や地域とのつながりなど、厳しい審査基準をクリアしたホテルに与えられる国際的な環境認証「グリーンキー」を、那覇市のホテルが県内で初めて取得しました。ホテルの取り組みを通して持続可能な宿泊施設の在り方を考えます。
“常に変化するアート&カルチャーの今”をコンセプトに掲げる「ホテルアンテルーム那覇」。今年5月、ある「国際的な認証」を県内で初めて取得しました。
その名は「グリーンキー」。グリーンキーとは、環境に配慮した運営を行うホテルなどに与えられる国際的な環境認証で、世界80か国・約7500の施設が取得。国内では20施設が認証を受けています。
▼ホテルアンテルーム那覇 栢野知幸 マネージャー
「グリーンキーには13のテーマがあって、150の項目があります。まずはその150すべて理解するところから始めました」
100回以上読み返したという分厚い基準書です。
「2年半ぐらいは持ってると思います。破れたりしてるのでテープを貼ったりしながらずっとこれを使ってました」
審査項目は多岐にわたります。廃棄物の管理、水やエネルギーの使用、地域とのつながり……ホテル運営のあらゆる面に目が向けられます。具体的にどんな取り組みが行われているのでしょう。
▼ホテルアンテルーム那覇 栢野知幸 マネージャー
「お部屋にペットボトルの水は置いていません。お水をご利用の際はこちらのカラフェを使って、館内にあるウォーターサーバーから給水いただいております」
この取り組みで、年間約4万2000本分、重さにして約1300キロのペットボトルを削減。さらに、アメニティーも竹や紙製品へと切り替え、年間約800キロのプラスチックの削減につなげました。客室スリッパも、繰り返し使えるビーチサンダルに変更し、年間約1万5000足分のごみを削減しています。
このほかシャワーは使用感は保ちつつ水量調整を行い、照明器具はLEDを積極的に使用するなど、CO2の排出を削減しています。
▼ホテルアンテルーム那覇 栢野知幸 マネージャー
「宿泊施設は一般の家庭と違ってエネルギーの使用量や廃棄物の量は本当にたくさんありますので、その辺りに少しでも貢献できるように会社として色んなアクションを進めて行きたいと思っています」
地域との連携も、グリーンキーの認証における大切な要素です。
こちらの「グリッピースムージー」に使われているのは、うるま市の社会福祉法人・たまん福祉会で育てられた「だいず若葉」です。地域の福祉と農業を支える1杯。ホテルは、このスムージーを通して就労支援や県産食材の利用を後押ししています。また、県内で障がいのあるアーティストを支援する団体「ドアレスアートオキナワ」と連携し、客室の一部には、所属アーティストのアート作品を展示。ホテルでの展示販売会も開催しました。グリーンキーの日本窓口の代表者に、グリーンキー取得の意義を聞きました。
▼一般社団法人JARTA 高山傑 代表
「日本の観光庁が、いわゆる観光の基本的な政策の中で1番に掲げているのが、持続可能な地域づくりというものになってます」「その中でグリーンキーも含めて、地域づくりの為にやっていくには、事業者も連動してやっていく必要がありますから、そういった認証がやはり今頃特に認められてきたんじゃないかと思います」資源を守り、地域と協力しながら地元に根差した運営を行う。ホテルアンテルーム那覇の取り組みは、SDGsの目標につながっています。
▼ホテルアンテルーム那覇 栢野知幸 マネージャー
「何かアクションをする事にそれぞれ個別に相談をしたり、お声掛けをしたりっていうところで進めてきた結果、みんなが同じ方向を向いてアクションできた事が取得につながったと思います。県内の宿泊施設も興味を持っていただいて、環境問題に対して一緒に取り組んで行けるような体制ができたらなと思います」
一つひとつの行動に、やさしさが宿るホテル。思いやりが行き届く空間で過ごす時間は、その思い出と共に持続可能な未来をつくります。