東京電力福島第一原発の事故について、最高裁が国の責任を認めない判断を示してから3年が過ぎました。それ以降、後続の裁判では、原告に厳しい判断が相次いでいますが、この判決に意義を唱え続けている元裁判官がいます。11年前に原発の差し止めを命じた樋口英明さんです。このたび、樋口さんがTUFの単独インタビューに応じ、最高裁判決の問題点や今後の展望を語りました。

元裁判官・樋口英明さん「訴訟当事者だから怒ってるんじゃないんですよ。私は法律家だから怒ってるんじゃないんですよ。もう全く常識外れの判決です。あれは」

3年前の最高裁の判決を痛烈に批判する樋口英明さん。元裁判官です。福井地裁では裁判長として大飯原発の差し止め訴訟を担当し、2014年に原発の稼働を差し止める判決を言い渡しました。

その後、二審では運転を認める判決が言い渡されましたが、樋口さんは「原発を止めた裁判官」として知られ、退官後の現在も全国各地で原発の危険性について講演するなど、精力的に活動をしています。

樋口英明さん「迷いはまったくなかったですね。住民は『大飯原発の敷地に強い地震が来ると、原発は耐えることができずに事故になります。だから我々の命と生活を守ってください』と言った。それに対して、被告の関西電力は『この原発敷地に限っては、強い地震は起きませんから安心してください』と。それだけの事件ですよ。本質はそれだけの事件ですよね」