“かまれても気づきにくい”マダニ

マダニの生息地は全国の森林・草地・郊外・市街地などで、動物の二酸化炭素を感知すると草や葉の先端に移動して動物が近づくのを待ち構えて、通りかかった対象物である動物にくっついて吸血を開始します。
吸血前は体長3ミリ~8ミリですが、血を吸うと10ミリ~20ミリと大きくなります。
マダニの多くが春から秋にかけて活動が活発になるので、これからの時期は注意が必要となります。

国立環境研究所 五箇公一特命研究員:
基本的には鹿やイノシシなど野生動物の血を吸っているので、本来は山林・森林エリアに潜んでいるダニが、郊外や市街地など身近なところの緑地でも出てくるようになっています。
五箇氏によると、マダニにかまれても痛みもかゆみもほぼないので気づかないことが多いそうです。
五箇公一特命研究員:
マダニは口にハサミを持っていて、皮膚を切ってそこに頭を突っ込んで血を吸うんですが、その切り方がすごく上手なんですね。痛みもかゆみもほとんど感じることはなくて、吸われている間はほとんど気づかないです。むしろそれでウイルスに感染する危険性が高いということですね。
もしSFTSに感染していると、6日~2週間程度の潜伏期間ののち、発熱・頭痛・嘔吐・下痢などの症状があらわれます。
厚労省HPによると、マダニのSFTSウイルスの保有率は0~数%にとどまっています。
五箇公一特命研究員:
基本的にすごく頻度が低いんですね。ウイルスの保有率自体は。
ただ、めったにかからないけどかかってしまうと特効薬などの治療法がないので、重症化して死亡するリスクが高くなってしまう。
致死率30%「SFTS」とは

SFTS(重症熱性血小板減少症候群)は、
SFTSウイルスを保有しているマダニにかまれることにより発症する感染症です。
症状は、発熱・嘔吐・腹痛・血小板減少・白血球減少などで、重症化すると多臓器不全を引き起こします。致死率は10%~30%と非常に高い数値となっています。
毎年100人以上感染の届け出があり、2024年は120例と統計史上2番目に多く、そのうち11人が亡くなっています。