京都地裁「被害者に落ち度はなく理不尽で言葉もない」

23日の判決公判。水島被告はスーツにマスク姿で一礼して着席した。

まず、裁判長は動機について「間近に予定されていた仕事をせずに済むにはどうすればよいか考え、抵抗されにくそうな老人などを探し犯行に及んだ。その経緯に酌むべき事情はなく、自分本位の発想に基づく身勝手なもの」と指摘、「人を殺すことへの葛藤は見られず、生命軽視の姿勢が著しく、強い非難に値する」と断じた。

また、殺害行為について、「被害者を階段から重ねて突き落とし、横たわる被害者を複数回ブーツの靴底で踏みつけた」「生きているのを確認した後、包丁で背中を繰り返し刺すという執拗なもので、悪質」と述べた。

さらに、裁判長は「被害者に落ち度は皆無で、何ら関係のない被告による非情な犯行で突如、人生を終えるという理不尽な結果を余儀なくされ言葉もない。刑事責任は重大」として、求刑通り、無期懲役の判決を言い渡した。

判決の言い渡しが終わると、男は一礼し席を立った。一連の裁判で、いつも背筋を真っすぐ伸ばし姿勢良く座っていたが、閉廷後は腰を曲げ、肩を落としたように座っている後ろ姿が印象に残った。