「世界的にも稀」な発見

化石を採集した「成羽層群」【画像⑧】が分布している高梁市一帯は、約2億2000万年前は海で、この時代は「魚竜類の進化における重要な転換期」でもあったと言われています。

【画像⑧】

「魚竜類の化石」の発見は、国内では宮城県以外の地域では報告されておらず、今回、西日本では初めて。またこの時代の「魚竜類の化石」の発見は、世界的に稀だということです。

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魚竜化石研究の世界的権威である、カリフォルニア大学デービス校の藻谷亮介教授は、今回の発見について、以下のようにコメントしています。

(カリフォルニア大学デービス校 藻谷亮介教授)
「ノーリアン(三畳紀後期)という時代は、魚竜類の進化における重要な転換期で、近海型から遠洋型への真価がほぼ完成した時期にあたります。しかし、この時代の魚竜化石は世界的に稀で、まとまった化石はカナダのブリティッシュコロンビアから知られているのみです」

「日本からこの時代の魚竜化石が出たということは、進化した魚竜類が太平洋より大きかった当時のパンサラッサ海を実際に渡ることができた可能性を示し、大きな意義があります」

当時の「海の生態系」が明らかになるかも

加藤教授も、「当時の海の生態系が明らかになるきっかけになるかもしれない」と期待を寄せています。

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(岡山理科大学 生物地球学部 恐竜学科 加藤敬史 教授)
「ちょっとやらしい話ですけどけど、『誰もが気が付かないのを僕が見つけた』っていうのは、ちょっと誇りであります」

「こういう標本が見つかると、そういう目で見る人たちが増えてくるというのもある。もちろんこれを詳細に調べることは前提として、追加の標本であるとか、そういう発見にも繋がるんじゃないかと思います」

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思わぬ新発見となった、魚竜類の化石です。高梁市成羽美術館では、化石の調査が終わった8月ごろ、改めて「魚竜類の化石」として展示する予定です。