沖縄戦の教訓「軍隊は住民を守らない」
沖縄戦研究の第一人者、石原昌家名誉教授は、他の島でも軍による殺害リストが作られていた事実に出会っている。

石原昌家名誉教授
「緊迫した有事の状況になると、軍と行動を共にする住民もいるわけで、そういう住民からの情報とかでもって、殺害リストができあがっていく」
「軍隊は自国民を守るものというふうにして受け止めている部分もあって、みんな協力したり、また加わっていくというふうなものがあるわけなんだけど、実際の展開の過程においては軍隊が自分たちを守るどころか、殺すような存在にもなっていくんだということを、沖縄戦というものが軍隊の本質を見極める一つの大きな材料、教訓になっているんじゃないかと思う」
それを、本永さんは目の当たりにしていた。

本永昌健さん
「戦が起こったら、軍隊は軍隊だけしか守りませんよ。住民は守りませんよ。絶対守りませんよ。これだけははっきり言えます」
谷川ウタさんの気持ちを表現した彫刻のデッサンを焼き付ける工程と野仏の設置を残して、レリーフは形になった。刺激的なものを避けてほしいという一部の声に抗うように、金城実さんは、史実を刻んだ。

子を抱く母親に銃を向け、刀を振り上げる兵士。そして逃げ惑う住民たち。

金城実さん
「戦争を美化する者と否定する者の戦いなんですよ。戦争の真実、事実、実相を隠蔽する者との戦いの意を込めて作った」
「そして、もうひとつ沖縄戦を未来に伝えるというのが大きな目的なんですよ。死者20人とつながる野仏は子供たちが作った。未来に繋ぐためのレリーフの役割であることも忘れてはいかんということです」
それから80年。石に刻まれた犠牲者の生きた証が、永久に歴史の事実を伝えている。
