なぜ対立した?決定的な違いは「不動産事業の分離か」

フジ側の提案とダルトン側の提案、計23人の取締役候補はなぜ両者で全く違っていたのでしょうか。河西弁護士は、両者の考え方に違いがあったとみています。フジ側は、清水氏以外を代えて信頼回復を目指すという考え方、ダルトン側は「不動産事業の分離案」など利益追求を目指す考え方があったのではないかというのです。
「スポンサーに帰ってきてほしい思いは共通です。では何が対立していたのか、決定的な違いは、ダルトンはさらに企業価値を上げて儲けたい、という考え方がありました。フジ・メディア・ホールディングスは、テレビ事業のほかに、サンケイビルを中心とした不動産事業を手がけており、この利益が非常に大きい。フジ側はこれを切り離したくなかった、溝が埋まらなかったということですね。」(河西邦剛弁護士)

河西弁護士によれば、一般的に事業分離は株価上昇につながりやすく、特に個人株主に魅力的な提案に映った可能性もあります。一方、フジテレビ側は不動産から得られる利益を、時間のかかるコンテンツビジネス、例えばアニメやドラマ、キャラクターグッズの販売、海外展開やネット配信といった長期的な投資に充てるため、不動産事業という安定した収益源が不可欠という考えがあったのではと見ています。