「沖縄戦の縮図」とも言われる沖縄・伊江島での戦い。この島では終戦を知らず2年間を木の上で過ごした日本兵がいました。今年、その史実を基に製作された映画が公開されます。極限状態の中で生き抜いた日本兵を演じる俳優・山田裕貴さんが撮影を通して感じた戦争への思いを語りました。
終戦を知らず木の上で2年…晩年まで伝え続けた「戦争は避けなくてはいけない」
映画「木の上の軍隊」は、沖縄県・伊江島で終戦を知らず、2年間、木の上に身を潜め続けた日本兵2人の実話を基にした物語です。このうちの一人、佐次田秀順さんをモデルとした兵士を俳優の山田裕貴さんが演じました。

山田裕貴さん(34)
「ご飯があること、飲み物が飲めること、これは僕、日々感謝しようって思っていて、日々ありがとうって思っているんですけど、改めて強く大事だなって、当たり前ではないなってことを強く思いました」

映画の舞台となった伊江島。米軍から激しい攻撃を受けたほか、ガマに逃げ込んだ住民が自決するなどし、当時、島にいた住民の半数、約1500人が犠牲になりました。

取材に応じてくれた佐次田さんの息子・満さん(77)は、この戦いで銃弾を受け、亡くなるまで足を引きずる父の姿を間近で見てきました。
秀順さんの息子 佐次田満さん
「火葬をしたときに銃弾がでてきた。だいぶ変形して、父親からしてみたら銃弾が自分のカラダから離れて、それでようやく戦後が終わったと」

自らの体験は、ほとんど語らなかったという佐次田さんですが、「戦争は避けなくてはいけない」。晩年まで、そう伝え続けていたと言います。

演じた山田さんは…
山田裕貴さん(34)
「自分が起こせる波紋なんて、きっと大したことないのかもしれないけれど、こういう作品を通して見てもらって、生きてるだけでいいじゃんみたいな、ちっちゃなことで悩んだり争うのやめようみたいな、そういう心が伝播していくだけでも世界を変えてるのではと、どうにか思いたいし、そういったことを伝える中で、ちょっとでもそういう広がりがあれば、それがいつか僕の世代ではないかもしれないけど、いつか平和な日が来るのかななんて夢見ています」
