小泉農林水産大臣が、コメ作況指数と共に見直しを打ち出しているのがコメの「概算金」制度です。農政の専門家は一定の理解を示す一方、コメ農家からは不安の声も聞かれます。
コメの「概算金」は、JAが導入している制度です。農家がコメをJAに出荷した際に支払われる、いわゆる「前渡し金」です。JAがコメを集荷してから販売するまでには時間がかかるため、その前に農家に代金を前払いしておくという性質のものです。通常はその年の秋にJAが概算金を決定し、コメの販売状況によって追加分が支払われます。

この概算金を巡り、小泉農林水産大臣は6月20日、JAに対し廃止を要請し、農家から直接買い取る方式に転換するよう求めました。

小泉農林水産大臣:
「山野会長も、作って最終的にいくらになるかわからないのはやる気が湧かないよねと。しっかりコメ作りを安心して経営の見通しが立つ方向に認識を共有できたことは非常に大きい」

農政に詳しい宮城大学の大泉一貫名誉教授は、「今はJAがコメの価格を決められる状態」と指摘し、直接買い取り方式に理解を示します。

宮城大学 大泉一貫名誉教授:
「今は価格決定権が農協(JA)にある。コメの価格は関わる全ての流通業者の間で公平に決められるのがいいという、その一歩だと思う」

一方、生産者からは不安の声も聞かれます。宮城県登米市のコメ農家、阿部善文さんは、「概算金」の廃止について、買いたたきを心配しています。
コメ農家 阿部善文さん:
「概算金が基準となって、ある程度、仕入れしている業者の目安の金額も算出されているので、これが無くなると、もしかしたら安く買い上げされる可能性も出てくるのでは」