国の地震対策への“不信感”「南海トラフ地震臨時情報」も

科学的根拠に乏しい仮説にも熱心な支持者が存在します。「熱移送説」については「プレート説に変わる新しい地震発生メカニズム」と評価したり、「地震学者からプレート説に代わる新たな学説を生み出そうとする動きはほとんどありません」などと批判したりする声もあるといいます。

こうした現象について、林教授は「国の地震組織や地震対策への不信感が背景にあり、地震予知への期待感がいまだに残っているのではないか」と分析します。例えば、2024年8月に初めて発表された「南海トラフ地震臨時情報」については、情報の質や対応の割には、妙に厳格であったり、生真面目な人の期待に応えられていないことがあるといいます。「国の災害対策にある建前感やごまかし感への不満が、身近にあった反体制的な仮説に過剰な期待を寄せてしまう結果になっている」と指摘しました。