7月5日“大地震”説は「占いを信じて行動するのと同じ」

林教授は、学会での発表後、記者の質問に対し「地震学が過剰に期待を持たせているところがあり、それを分かっていない人が南海トラフ地震臨時情報の発表のようなものを見ると、期待を裏切られたと感じ、頼れるものを探したくなる」と答えました。一方で「既存の学術がダメだと思った時に、何かに飛びつくのではなく、それ自体も疑いながら探索していかないと、本当の意味で防災に役立つ地震学にはならない」と指摘しました。臨時情報が発表される際の仕組みについても、防災対応の準備に時間がかかることなど、国は、正直に話をしていかないと誤解を生むことになると説明しました。

また、SNSなどで話題になっている“7月5日に大地震が起きる”と“予言”する漫画について質問すると「偶然当たる可能性はあるし、日本に住んでいる限り、地震は何よりもリスクが大きいので、過剰に捉える人がいるのは無理もないこと」と答えた上で「ほとんど起こらないことを根拠に行動を決めるのは、ある種の占いを信じて行動を決めるのと同じ」と指摘し、冷静に判断すべきだと注意を促しました。

私たちは科学的検証を重視しつつも、なぜ人々が様々な仮説に魅力を感じるのか、その心理的背景にも目を向け、地震学の実力や限界を正しく理解していく必要があります。