ホタルはなぜ光る?

ーホタルはどうして光るのでしょうか。

(東洋産業 大野竜徳さん)
「ホタルは、その光によって『私はまずいぞ!』『びっくりさせるぞ!』というシグナルも発しており、その姿を真似することで、ほかの擬態昆虫たちもまんまと食べられにくくしているのです」

【画像②】ホタルの光は「私はまずいぞ」というメッセージにも

ーゲンジボタルは、どのような一生を送るのでしょうか。

「今、私たちの目を楽しませてくれるゲンジボタルの成虫は、成虫になってから約1週間の短い命」

「オスはふわーっと光りながら飛び回り、メスは草や葉に止まり、静かに光って求愛を受けます。彼らは成虫になるとほとんどエサを食べず、雨上がりなど蒸し暑い夜に活動します」

「しかし、その短い成虫期間の前には、実は1年近い長い幼虫時代があります」

「卵は湿った苔の中などに産みつけられ、やがて孵化した幼虫は川や田んぼの水中で暮らします」

「彼らは『カワニナ』という黒っぽくて細長い巻貝を主食とし、成虫になるまでに20匹以上を捕食して成長します」

「ただし、ホタルはとってもグルメ。おいしそうで食べやすそうなカワニナを厳選するため、これを支えるには環境中に何十倍ものカワニナが必要で、ホタルの生息には豊かな水辺の生態系が不可欠なのです」

ーホタルは、綺麗な水の川にいるというイメージでしたが、それはカワニナの生育環境としても必要な条件だったんですね。

「夏がきて、秋が過ぎて、冬を超えて春になり、雨が川面を打つ音を聞くと、成長した幼虫は成虫になる準備を始めます」

「幼虫は水辺から陸に上がり、泥の中に潜って蛹になります(この間もほんのり発光します)」

「そして梅雨入り前後、蒸し暑い雨上がりの夜、一斉に羽化して光りながら飛び立ち、次の命をつなぐプロポーズの旅へ出るのです」