「民間在庫の把握」が抜けている!専門家が指摘

 一方、山下氏はコメ供給量の正確な把握には、収穫量の実態把握とロスの把握に加え、「民間在庫の把握」も重要だと指摘します。なぜかというと、正確なコメの供給量は「その年(秋)の生産量」+「前の年の残り量(在庫)」であるからです。山下氏は、現状は「その年の生産量」ばかりに注目して「前年の残り量」についての議論が抜けているといいます。

 農水省のデータによれば、民間在庫量は去年の夏頃から前年より合計約40万tも少ない状態が続いています。

 山下氏はこの背景として「2023年産のコメに酷暑のロスが30万tあった」ことに加え、「実質の減反政策で9万トン減っている」点を挙げています。つまり、最初からこの民間在庫量で足りていない40万tを備蓄米で放出していれば、もっと早期に価格が安定していた可能性があるというのです。

 また、価格高騰の根本的な解決には、事実上の減反政策、つまりコメの生産量を減らしている現状を変えることが必要だと山下氏は提言しています。その議論を忘れずに進める必要があるとのことです。