犯人らが使ったとみられる手口「CANインベーダー」とは?
犯人らが使ったとみられる手口が「CANインベーダー」です。CANとは『Controller Area Network』の略語で、車の制御を司るシステムのこと。車内に張り巡らされた制御システムの配線に、外部から専用の機器をつなぎ、特殊な信号を送ることでドアを解錠したり、エンジンを始動したりすることができるといいます。
車のセキュリティ対策を行う専門店で、実際に機器の操作をみせてもらいました。
(セキュリティラウンジ名古屋 加藤学社長)「盗難手口で一番多いCANインベーダーといわれる装置です。モバイルバッテリーサイズですが、車のコンピュータに直接アクセスするためのプログラムが組み込まれています。不正にパネルを外して、実際には中にはコネクタがありまして、そのコネクタにピンを差し込むんですね」
中のコネクタに機器をつなぎ合わせると…
(加藤学社長)「いまコンピュータにアクセスし始めたところですね。ライトがつきました。いまエンジンがかけられて、もう解錠されていると思います」
わずか3分ほどでエンジンをかけることができました。
名古屋・北区でCANインベーダーを使った犯行の一部始終が、防犯カメラに収められていました。狙われたのは高級車「レクサスLX」。2人組が車の左前方に工具のようなものを差し込み、部品を無理やり外します。もう1人が何かを手渡したあと、手元で操作をするとライトが点灯。
ロックも解除され、運転席に乗り込むと…エンジンがかかり、勢いよく走り去っていきました。車に触ってから走り出すまでの時間は、わずか1分半でした。
CANインベーダーが出回り始めた2020年ごろから、自動車の盗難被害は増加傾向(警察庁による統計)で、メーカーや警察は警戒を強めていますが、盗難が減る気配は一向にありません。