インタビューを終えて
私は2011年から2015年までJNNソウル支局で特派員として勤務した。
その後も日本と韓国の様々な声を聞く機会に恵まれたが、両国の政権が変わるたびに良好な関係を維持することの難しさを感じてきた。
しかし、”切り札”はあるかもしれない。
張済国さんの提言を聞いて、素直にそう思えている。
日韓国交正常化50年を迎えた10年前は、日韓関係が冷え込み首脳会談が長く開かれていなかった。
それでも当時、間にはアメリカがいた。
アメリカが主導する形で北朝鮮の核問題や台湾有事など、共通のリスクに向き合うこともできた。
しかし今、二期目のトランプ大統領が誕生し状況は一変している。
アメリカ頼みは通用しない。
トランプ関税やストップする途上国援助の問題・・・外交秩序が壊れていく中で、日本と韓国は今こそ強固に手を携え、アジアやアセアンの国々と一緒に国際社会で果たすべき役割があるはずだ。
他方で、歴史問題を語る時、私たちが決して忘れてはならないのは、そこに被害者がいるということだ。
それを踏まえたうえで、「国の関係を悪化させない装置をつくる」という張済国さんの提言が、ひとりでも多くの日韓の政治家、外交関係者に届くことを願っている。
RKB毎日放送 解説委員 高藤秋子