「GDP1000兆円」は実現できる?

そして石破総理が掲げた「2040年に名目GDP1000兆円の経済」だが、これはつまり【16年間ずっと実質成長を1%続ける】ということ。

2024年度の名目GDPが「617兆円」なので、成長率1.03かける16乗だと、15年後には約1000兆円になる。<617兆円×(成長率1.03) ¹⁶=990兆円>

中空さん:
「名目GDP1000兆円実現のためには2つ条件がある。【1】賃金がきちんと上がっていく【2】正しい設備投資や正しい投資が進んでいくこと。それにより実質GDP1%成長をやり遂げるということができれば可能な数字」

ーーそうした中で、財政再建と経済成長を両立してやっていくべきだと

中空さん:
「財政が先なのか経済が先なのかという二項対立みたいな話になってしまうが、やはりどちらもやらないといけない。実質GDP1%成長は結構な数字なので、頑張って成長するところに投資をしなければいけない。日本は無駄遣いが結構あるのでそれをやめて、成長分野にお金を投下していくことができるかどうか。課題はあるが可能だと思うし期待したい」

国債の格付け下落は「日本全体のリスク」

また今回の骨太の方針では「国債の今後」について懸念する表現も目立ったが、日本の国債の格付けは今や「A1」にまで落ちている。

【国債の格付け】(米・ムーディーズ)
▼Aaa:ノルウェー・スウェーデン・カナダ・ドイツ・オーストラリアなど
▼Aa1:アメリカ・フィンランド・オーストラリア
▼Aa2:韓国・カタール
▼Aa3:ベルギー・イギリス・フランス・台湾など
▼A1:日本・中国・アイスランド・エストニア・クウェート
▼A2:ポーランド・チリなど
▼A3:ポルトガル・マレーシアなど

格付けが低いと信用リスクが低いことから金利が高くなる。中空さんも危機感を口にする。

『BNPパリバ証券』中空麻奈さん:
「格付けは私達の生活に関係がないように見えるが、例えば日本が資金を調達する時にも金利に跳ね返って調達コストに影響する。結局回り回って競争力になってくる。投資家の目線でも格付けが高い方が投資しやすいし、世界から資金調達をしやすい面もある。これ以上下落し、併せて日本の企業の格付けも下がるようなことになれば、日本全体のリスクになる」