7月の参院選にむけ石破総理が表明した「一律2万円」の現金給付。予算は「3兆円台半ば」というが、骨太の方針で示された「財政健全化」との矛盾は?

現金給付と消費税減税「物価高対策」に有効なのは?

石破総理(13日):
「決してバラマキではなく、本当に困っている人に重点を置いた給付金を来たるべき参院選の公約に盛り込むよう検討するように指示をした」

給付額は【国民に一律2万円】で
▼子ども【1人2万円】
▼住⺠税非課税世帯【大人1人2万円】を追加で給付する考えだ。

予算規模と財源についてはー

石破総理
「予算規模は粗々の試算ではだいたい3兆円台半ば。税収動向を見極め適切に財源を確保し決して赤字国債に依存することがないよう、この点は強く指示している」

「バラマキではないことを信じたい」という『BNPパリバ証券』グローバルマーケット統括本部副会長の中空麻奈さん。野党が公約に掲げる“消費税減税”よりは「給付金の方がベター」だと話す。

【各党の“物価高対策”】
▼自民⇒国民一律2万円給付(子どもと低所得者は4万円)
▼公明⇒1人数万円の現金給付
▼立憲⇒食料品の消費税率原則1年間ゼロ、一律2万円給付
▼維新⇒食品2年間 消費税率ゼロ
▼国民⇒消費税を時限的に一律5%引き下げ
▼共産⇒消費税廃止を目指し、5%に緊急減税
▼れいわ⇒消費税の廃止

『BNPパリバ証券』中空麻奈さん:
「消費税の減税は、やってしまうと恒久的になってしまう。1年なら1年、2年なら2年で終わるのか。またテクニカルに減税をやれるのは1年半~2年後になってしまい即効性はない。そう考えると、一時的に今の物価高に対策を取るのは理解はできる」

ーーこれまでの給付金は▼コロナ禍10万円▼岸田内閣の定額減税4万円なので規模感として少ない。さらに高所得の人にも2万円というのはどうなのか

中空さん:
「ポイントになる“困っている人”というのがきちんとわからないといけないが、わかる術が日本にはない。困っている人に行き届くためには、ありとあらゆるデータを共有化して誰が困っているのかを見つける必要があるが、その仕組みがコロナ後何年も経っているのにできていないことの方が問題」

骨太の方針「賃上げ起点の成長型経済へ」

また、石破内閣で初めてとなる経済財政運営の指針、いわゆる「骨太の方針」が13日に閣議決定された。

石破総理:
「成長と分配の好循環が動き始めた今こそデフレに後戻りせず、成⻑型経済への移行を確実なものとしていく。経済再生と財政健全化の両立を進め、“2040年頃に名目GDP1000兆円程度”の経済が視野に入るように取り組んでいく」

「賃上げを起点とした“成⻑型経済”の実現」と打ち出し
▼5年間で実質賃金 年1%程度の上昇
▼最低賃金を2020年代に全国平均1500円
を目標に掲げる。

国と地方の基礎的財政収支▼プライマリーバランスの黒字化については、
2024年の骨太の方針では「2025年度中に達成」としていたが、それが「25年度から26年度を通じて」と時期を実質的に“後ろ倒し”にした。

経済財政諮問会議の民間議員も務める中空さんは、今回の骨太の方針のポイントは「成長型経済」だと話す。

『BNPパリバ証券』中空麻奈さん:
「長い間日本は【コストカット型経済】で低金利・低賃金・低物価だったが、少しずつインフレにいくことによって成長していこうと、その起点には立っている。なのでそこを重視したということ。それから長い目標を持つということ、さらにはプライマリーバランスの黒字化を具体的に指し示すことができた。この辺は良いポイントとして見ることができる」

ーーただ、一律2万円給付で「3兆円台半ばの予算」が必要となると、2026度もプライマリーバランスの黒字化は危ういのでは

中空さん:
「かなり苦しいといえば苦しくなるが、骨太の方針では【債務残高対GDP比をコロナ前の水準に戻す】という目標もある。コロナ前に戻すとは、補正をそれほど打たないという意味。コロナ前の補正予算は大体3~4兆円ぐらいなので、給付の予算がそのぐらいで収まれば実現可能だということ」