地震・津波検知の速さが格段に向上
気象庁はすでに沖合システムの活用を開始しており、高知県沖から日向灘にかけて発生した地震はこれまでより最大約20秒、津波は最大約20分早く検知できるようになりました。これにより、緊急地震速報や津波警報などの情報発表の迅速化が見込まれています。
宮崎公立大学の山下裕亮准教授は「N-net」の整備効果について、「実際に観測されたという情報が入ってくるので情報がよりアップデートされる。そうすると沿岸にやってくる津波がどれくらいの高さになるかということもある程度正確に予想ができるので場合によっては津波注意報だったものが津波警報に格上げみたいなことも十分にあり得る。津波の予測とか予報に関する精度が今後向上することは非常に期待されるところ」と説明します。


防災意識の向上が鍵
そのうえで、山下准教授は「N-net」がもたらす効果を最大限に活かすためには、私たち一人ひとりの防災意識を高めることが重要だと強調します。
「N-netが最大限活用されるタイミングは南海トラフ地震が起こったとき。そのときに発表される一発勝負の情報をしっかり理解していただく必要があるということは宮崎に住んでいる以上、ぜひ理解していただきたい」と山下准教授は話します。

高知県沖から日向灘は、南海トラフ地震の想定震源域でありながら、これまで観測網の「空白域」とされていました。「N-net」の整備によって、この空白域が解消されたことは大きな進展といえるでしょう。