「逃げ出したい 居ったって同じなんだ本当は」
4月3日、環境音を収録し、感覚を研ぎ澄ます音作りを行う「サウンドデザイナー」として世界的に活躍する 清川 進也 さんの協力を得て、「被爆樹木の音」を収録した。

サウンドデザイナー 清川 進也 さん(48)「これ、医療用の聴診器に、これがマイクになっていまして、これから音を拾って、こっちに記録するっていうやつですね」

爆心地から1.4キロにある聖フランシスコ病院。

被爆当時は「浦上第一病院」と呼ばれ、赤レンガと鉄筋コンクリート製の3階建ての建物だった。

伊藤教授「この奥の木です」 清川さん「あぁ、これか」

タイサンボクの木は、病院の建物が爆風とその後の火災で外郭だけとなっても耐え抜いた。

病院では、薬も医療器具もない中で救護活動が行われた。

♪浦上第一病院 タイサンボクの音(動画を再生し、耳を澄ませて音をお聴きください)

被爆当時の医長・秋月 辰一郎 さんの証言(1968年)「逃げ出したいと思いましたね。逃げたいと。しかし、知った顔がおるから逃げられない。治療もできないでしょ。居ったって同じなんだ、本当は。居ったってできないんです。薬何もないのに患者の治療をしてるということはですね、非常に苦痛なんだけれど、やっぱり離れきらない」