コメ不足の昨今、コクゾウムシの被害を避けるには?
ー貴重なコメ。なんとしてもコクゾウムシの被害から守りたいですが…
(東洋産業 大野竜徳さん)
「最近のニュースでは、自然災害や国際情勢の影響で、『コメ不足』という言葉を見ない日はありません。残念ながら、そんな中、買い占め行動も耳にすることがあります」
「コメの保管は一歩間違えると味が悪くなるだけでなく、コクゾウムシに食べられてしまうリスクがあることには変わりません」
「買い占めを行った人はしめしめと皮算用をしていたのかもしれませんが、管理方法が悪いお米は、暖かくなってくるとコクゾウムシなどの害虫のターゲットにされます」
「どういう理由かは定かではありませんが、虫が発生したコメが廃棄、不法投棄されていた、というニュースもあるそうです」
「そのほか、管理方法を誤ればコクゾウムシでなく、様々な害虫やカビが発生してしまうこともあります。自宅で管理できるだけの量を保管しておくこと、出所不明のお米は買わないほうが無難です」
「大切なコメをコクゾウムシから守りながら、おいしく食べるための適切な玄米・白米の保管方法をいくつかお伝えしましょう」

・玄米・白米ともに、10℃以下の冷暗所で保管するのが理想。
「コクゾウムシは25℃くらいの温度が一番元気で、15℃を切ると動きが極端に鈍くなり、産卵もしなくなります」
「発育限界温度(卵や幼虫などが成長することができる最低気温)は一説では12.2~13.5℃されています」
「その他の害虫でも10℃を切ると発育はほとんどできません。だから、冷蔵庫の野菜室などがいい温度なので、一角を米専用置場にしておくのもいいかもしれません」
・温度管理が難しければ1か月くらいで食べきれる量がいい。
「コクゾウムシは室温だと約1か月で成虫になり、また卵を産んでいきます。そうなると一気にコクゾウムシの被害は広がります」
「なので、被害がもしあったとしても最小にするためには1か月くらいのコメにしておくのもいいです」
「特に精米されたコメに賞味期限はありませんが、常温でひと月くらいすると風味も落ちてきやすいので、そのくらいの保管期間を目安にしてはいかがでしょうか?」
・湿度は低めに(相対湿度50~60%以下)。
「コメの保管には湿度も重要です。湿度が高くなると、虫が発生しやすいのはもちろん、カビが生えたり、風味が落ちたりしやすくなります」
「コメは水分を吸いやすいので湿度も低くしておきましょう。ただ、コメを冷蔵庫に入れて保管していると冷蔵庫から出した時に結露して吸湿してしまう恐れもあります」
「コメの多くは冷蔵庫に入れておき、数日以内に使う分を小分けして密閉容器に入れると安心ですね。水の入っていたペットボトルなどはにおいもなく、しっかり密封できるので便利です」
・防虫には、月桂樹の葉や唐辛子、乾燥剤なども有効。
「大切なコメに虫が近づかないように防虫剤としていろいろなものが役に立ちます。ただし、すでにコクゾウムシが発生してしまっているコメには効果はありませんし、そこまで強力な効果はないので、過信は禁物です」
「におい移りもしますので、化学薬品やにおいが出るような防虫剤の使用はお勧めしません」
「最後に、もしコメにコクゾウムシが発生してしまったら、食べられるのでしょうか?コクゾウムシ自体に毒性はありません。もし口に入っても健康被害があることはありません」
「とはいえ、コクゾウムシをそのまま食べたくないですよね。コクゾウムシは水に浮きます。幼虫が食べ進めたコメの中には空気が入っています」

「なので、コメをたっぷりの水につけると成虫も、幼虫は入っているお米ごと浮いてきます。これらをしっかり除去すればほとんどの虫は除去できます」【画像⑦】

ー幼い頃、祖母とコメをといだとき、そんな光景があったことを思い出しました。「浮かんできたコメは捨てる、黒い虫は除去する」と習ったことが懐かしいです。