コクゾウムシとの戦いは縄文時代から

(東洋産業 大野竜徳さん)
「コクゾウムシは、コメにつく虫なので、と私たちのご先祖様との戦いは農耕(稲作)から始まった、と思われる方もいらっしゃるかもしれません」

「最近の研究では、もっと昔、縄文時代からその戦いは始まったのではないかといわれています。というのも、縄文時代の土器にコクゾウムシが押し付けられた跡(圧痕)が残っていたという証拠が見つかりました」

「この時代にはまだコメは日本にはなかったので、コクゾウムシのご先祖様は、私たちのご先祖様が貯めた『クリ』『ドングリ』などを食べていたのかもしれません。その頃のコクゾウムシは今よりも少し大きかったとようです」

「さらに、コクゾウムシが約500匹練り込まれたと推定される土器も発見されています」

ーそんなに、土器を作る場所の周辺にたくさんいたのでしょうか?それとも、にっくきコクゾウムシを練り込んだのでしょうか?

「私たちのご先祖様は、クリから大量に発生するコクゾウムシを見て、またクリがたくさん採集できるように、豊穣への祈りを込めてコクゾウムシをわざと練り込んだのではないかと考えられています」

ーコクゾウムシは、コメの入った厚手の袋に穴をあけることもありますから、固いクリもガリガリと食べていたのでしょうね【画像④】

【画像④】コクゾウムシはこんな穴をあけることも…

「さて、そんな昔から私たちの主食のコメをめぐって戦いを続けてきたコクゾウムシ。今でもコクゾウムシは、私たちの生活の周りでは虎視眈々とコメを狙っています」