立ちはだかる2つの壁 “カギ”となるのは…
高柳キャスター:
成立の可能性はどのくらいだとみていますか。

TBS報道局 政治部 山本杏奈:
私の取材の感覚では、今のところ“20%”ぐらいだと思っています。成立に立ちはだかっている「2つの大きな壁」があります。
高柳キャスター:
1つ目の壁が野党の問題、立憲民主党と国民民主党の距離感です。
立憲民主党が提出した法案には、「選択的夫婦別姓を導入する法案」と明記されています。一方で、国民民主党の法案には、「戸籍筆頭者を定めて、選択的夫婦別姓を導入する法案」と明記されており「戸籍筆頭者を定めて」という一文が立憲民主党と異なっています。
両方の法案を見比べてみたとき、違いは「戸籍筆頭者を定める」かどうか、これについてお互いの意見は…

立憲民主党・辻元代表代行(9日)
「(国民案について)ニワトリが先かタマゴが先かという違いしかない。ほぼ同じ」
国民民主党・玉木代表(3日)
「(立憲案について)立憲・国民で何かやっても進歩はない」
なぜ国民民主党は距離を置いているのでしょうか?
TBS報道局 政治部 山本杏奈:
立憲民主党は独自案を出していますが、立憲の辻元代表代行としては、法案成立を優先したい。国民民主党の案に乗っかることで、野党でまとまって法案採決に臨むという手段も選択肢として考えているようです。

一方で、国民民主党は公約に“夫婦別姓の制度を導入する”ということを掲げてはいていますが、支持層の中には保守派の人が増えてきていて、夫婦別姓に反対する声が寄せられているという背景があります。
国民民主党としては、選挙前に無理やりこの法案を通して目立つよりは、世論が醸成されてからゆっくり議論していきたい。何となく議論を先送りしたいなという思惑があり、今回の採決に関しても議論が拙速だという立場をとっています。
井上貴博キャスター:
結局のところ、さほど前向きじゃないということですか?
TBS報道局 政治部 山本杏奈:
法案は出しましたが、正直なところあまり前向きではないのかなと思います。玉木代表の発言などからも、決して前向きな発言は見られないという感じです。
高柳キャスター:
もう1つの壁は与党内にあります。慎重派としていた自民党議員が、推進派に移行できるか、党議拘束の問題についてです。

自民党内では推進派と慎重派で意見が大きく分かれ、集約に苦しんでいます。現状は導入に否定的な考えを示していますが、スタンスはあいまいということです。
推進派からは、「党議拘束を外して自由投票にしてほしい」という声が上がっています。これについて石破総理は6日、「党議拘束を外すことは、死生観とか価値観の根幹に関わるもの。今回はそうであるのかどうか…」と発言していて、少し後ろ向きな姿勢です。
TBS報道局 政治部 山本杏奈:
そもそも党議拘束とは何かと言うと、委員である自民党の議員14人について、委員会の採決のときに「反対してください」と拘束をかけることができるといったものです。
委員をしている自民党議員の中にも2人~3人ほど推進派の活動をしている人もいます。しかし、党議拘束をかけられてしまうと、議員個人は賛成でも、反対票を投じざるを得ないので、可決の可能性が低くなってしまい、道のりが遠くなってしまう現状があります。