コメが高い年なのに作れない理由は?

この処分場をめぐっては、2020年に出た県の建設許可の取り消しを求めた、地元住民らの訴えが2年前に一審で認められましたが、県が控訴。現在も高裁での裁判が続いています。

そんな中、処分場の浸透水の有機汚濁や鉛が法定基準値を超えるなどしたために、事業者はこれまでに県から、4度の行政指導を受けています。直近では、2024年10月に基準値の7・5倍もの有機汚濁が検出され、翌月に県は「汚濁の原因の究明と改善措置を講じること」を指導(警告)して、今年4月まで埋め立てが中止されていました。

農業 竹之内昇さん
「そうそう、今(水をここで)止めて。これずっと・・・今、田植えしとった山側の水路をずっと流れていく。もうそれしかない」

竹之内さんたち日名内上地区のコメ農家は、2年前、泡だった水を田んぼに引かないことを決断。その代わり、山からの水を運ぶ水路を建設するために自分達で費用を出し合いました。
農業 竹之内昇さん
「見て下さい、谷から出る水。こういうキレイな水でね。これが当たり前だった。今まではね」

日名内川の水が泡だったり、農業用水の指標を上回る汚濁が出たりしたために、三原市は、処分場の排水口より上流から取水するパイプを建設しました。この上流からの水と山からの水で、田んぼの水をまかないます。
農業 竹之内昇さん
「これが命の水ですからね、ここがね」

水質は確保されますが、水量が、元の川とは全然違うそうです。
農業 竹之内昇さん
「全然少ない。この前、先日雨降ったから(出ているが)。1週間くらいしたら水が出んようになるからね。山の水がなくなるからね」

日名内下地区でも今年度から川からの取水を完全に中止しました。結果的に、日名内地区では、水を分け合うために今年度13軒中9軒が作付けを減らし、うち水の届かない4軒は完全に米作りを断念せざるを得ませんでした。
農業 竹之内昇さん
「うちが作ったらあの人ら作れんようになるけ、水ケンカみたいになるけ、それだけは避けようかなと思ってね」「水が十分あったら私も作りますよ」

今後、問題は、米作りに留まらないと住民たちは感じています。本郷最終処分場は、沼田川流域と賀茂川流域の分水嶺に位置しているからです。