政府の「買い戻し」方針 課題は?

 こうした“3極化”するコメの価格状況を受け、小泉農水大臣は6月3日、これまで競争入札で放出された備蓄米について、業者が返還を希望する場合は政府が買い戻す考えを示しました。返還された備蓄米を随意契約に回し、再度放出することで、店頭に安く並ぶコメを増やす方針です。

 入札米は、地域による価格差も顕著です。農水省の店頭価格調査結果(ブレンド米を含む)の中央値を見ると、関西では和歌山が最も高く3989円となっています。和歌山の最高価格は4480円で、これは全国の最高値だということです(関西のほかの地域では、大阪3639円、兵庫3580円、京都3780円、奈良3590円、滋賀3580円)。

 地域による価格差が生じる理由について、農水省は「通常のコメと備蓄米をブレンドすることが多いため、その地域のコメの価格も影響しているのでは」と見ています。

 流通にも課題があります。入札米は、JAなどの集荷業者が入札し、その後、卸売業者を経て小売店に渡り、最終的に消費者の手元に届くはずでしたが、放出された31万トンのうち、小売店に渡っているのは8.7%(5月11日時点)に留まっています。

 流通経済研究所・主席研究員の折笠俊輔氏によりますと、「買い戻しで再放出」のメリットとしては安く出回る可能性がある一方、デメリットとしては返送コストや手間がかかることに加え、安く再放出すれば差額分の損失が発生することです。つまり、集荷業者が高値で入札したコメを政府が高値で買い戻し、それを安く売ることになれば、その差額分が“もったいない”ということです。

 また、入札米の流通の過程ですでにブレンド米にしていると、買い戻しをどのように実施するかという課題もあります。今後も備蓄米の放出とコメの価格の動きに注目です。


(2025年6月4日放送 MBSテレビ「よんチャンTV」より)