仙台市の路線バスの運転士は減少傾向にあり、ほぼ半数が50代以上となっています。

こうした運転士不足と高年齢化を打開しようと、仙台市交通局ではさまざまな対策を講じています。

青葉区の仙台市交通局川内営業所。

バスの運航管理や車両の点検、整備などをします。

ここで働く千葉いずみさんです。

仙台市営バス 運転士・千葉いずみさん
「きっかけは、たまたま大型2種免許を取っていたので、何か役に立てることがないかなと思ったときに、この交通局の仕事を知って応募してみました」

2024年10月に採用された千葉さんは、2月に独り立ちし、現在、市営バスの運転士として働いています。

仙台市営バス 運転士・千葉いずみさん
「できなかったことができるようになったり、先輩方に親身になって教えていただいたり、交流できるところにやりがいを感じる」

その仙台市交通局ではいま、ある課題を抱えています。

仙台市交通局総務課 佐藤裕大課長
「近年はバス運転手のベテランが引退する時期に差し掛かり、職員の引退があり、近年は担い手が減少傾向にある」

交通局が抱える課題は「運転士不足」です。

バス運転士は減少傾向にあり、ここ5年で約1割が減少しました。

また、現在の年齢構成でも、半数程度が50代以上となっていて、運転士の高齢化が顕著です。

その要因として考えられるのが、バスの運転に必要な大型二種免許の所有者の高齢化です。

警察庁によりますと、大型二種免許の所有者のうち約60%が60代以上なのに対し、20代から40代は、合わせても約15%にとどまります。

大型二種免許取得には、普通免許を持っている場合でも取得に40万円から50万円程度かかる場合が多く、金銭面でのハードルの高さが課題となっています。

そんな中、交通局では、2016年からある取り組みを始めました。

仙台市交通局総務課 佐藤裕大課長
「交通局では平成28年度から、免許を持たない方も採用し、大型2種免許を交通局の負担で取得してもらう『教習生制度』を開始している」

この「バス運転士教習生制度」で採用された職員は、採用後に自動車学校で大型二種免許を取得します。

その費用を原則、交通局が全額負担してくれるのです。

仙台市交通局総務課 佐藤裕大課長
「累計で150人を超える方を採用し、バス運転手としての育成を行ってきた。人材確保の一つの手法として確立している」

また仙台市交通局ではこの春の募集から筆記試験を廃止し、面接と適性検査、身体検査のみとしました。

これにより、これまで2日で行っていた選考が1日で完結することになります。

試験を簡略化した効果は絶大だったといいます。

仙台市交通局総務課 佐藤裕大課長
「2024年度の春の募集の際は、応募者が29人だったが、今回の募集では59人の方にご応募いただき、昨年度から比較すると倍増している状況」

2024年の同じ時期の採用に比べて応募者の数は倍増していて、既に2023年1年間の総数を超えています。

一方で拭いきれないのは、バスの運転士は“不規則な勤務による激務”というイメージです。

仙台市交通局では、午前の勤務、午後の勤務、日勤という3種類のシフトがあり、日勤の場合は、中休みが設けられています。

運転士として働く千葉さんは、中休みに同僚と食事に行くなどして活用しているといいます。

千葉いずみさん
「自分の時間を自由に使える勤務体系なのかなと思うので、趣味だったりいろいろなことに費やす時間を持てるのはとてもいいこといい職場だと思います」

仙台市交通局総務課 佐藤裕大課長
「不規則な勤務や、運転業務に対する負担感不安感が、敬遠される要因の一つになっている。今後も応募者の裾野を広げ、関心を持ってもらうために、広報の強化、採用に来やすい仕組みは引き続き検討していきたい」

市民の足として欠かせない仙台市営バス。

採用の裾野を広げるとともに働きやすい職場づくりに務め、運転士不足を解決することが急務と言えそうです。

仙台市交通局では、2025年7月と12月にも仙台市営バスの運転手の採用選考を行います。

今後も受験しやすい仕組み作りを予定しているということです。