終息したら、マグロは“減少”の可能性、カツオは“未知数”
高知県水産試験場によりますと、「黒潮大蛇行が終息した場合、キハダマグロの漁獲量は減少する可能性がある。ただ、カツオの漁況がどう変化するかは未解明な部分が多く、予測は難しい」ということです。
キハダマグロは「大蛇行の発生時に漁獲量が増え、終了時に減少した」という明確なデータがあるということです。しかし、カツオは豊漁になるパターンが様々あり、大蛇行とは逆の「黒潮小蛇行」で漁獲量が増えたというデータもあるのです。
「黒潮小蛇行」は、黒潮が九州の南東で沖に向かって大きく膨らんで流れ、黒潮の流れと岸との間に「冷水域」を伴うときの現象です。高知でいうと、大蛇行とは逆に、西の足摺沖で岸から離れ、東の室戸沖で岸に近づく海流となり、このとき土佐湾沖で黒潮の内側域が西向きに大きく開いて、土佐湾の流れが滞留します。

この、流れが滞留した海域にカツオの群れが多く来遊したときには、カツオが長く土佐湾内に居着くため、“豊漁”となるということです。
また、規模が大きめの黒潮小蛇行は、春先の3月~5月に発生することが多く、この時期は土佐湾へ多くのカツオが来遊する「初ガツオ」の季節であるため、小蛇行の発生とカツオ来遊のタイミングがうまく噛み合うと、小蛇行が解消するまで土佐湾周辺でカツオが豊漁となることがあります。
こうしたことから高知県水産試験場は、「大蛇行が終息したとしても、カツオの漁獲量が変わらない可能性を否定できない」としています。
カツオとマグロのように、大蛇行発生後に漁獲量が増えた魚がある一方で、逆に漁獲量が減った魚もあります。それは、キンメダイ、ゴマサバ、ソウダガツオです。