
高知の海や水産資源の調査研究を行う「高知県水産試験場」は、黒潮大蛇行の漁業への影響を調べるために、大蛇行が始まる前と後の各7年間の、年間平均漁獲量を比較しました。
【比較の期間】
◆大蛇行が始まる前 :2010~2016年
◆大蛇行が始まった後:2018~2024年
※2017年は「移行期」のため除外
大蛇行が始まった後、カツオは“15倍”、マグロは“17倍”の漁獲量に
カツオの「一本釣り漁」では、大蛇行発生後の漁獲量が、発生前と比べて約1.9倍となりました。
◆大蛇行前(2010~16年):年間平均712.0トン
◆大蛇行後(2018~24年):年間平均1,350.9トン
もっとすごいのが、カツオの「定置網漁」。高知県東部の室戸市佐喜浜などの大型定置網漁では、大蛇行発生後の漁獲量が15倍以上になっていました。
◆大蛇行前(2010~16年):年間平均2.0トン
◆大蛇行後(2018~24年):年間平均31.4トン
この結果について、高知県水産試験場は「カツオにとって好ましい条件がそろったことが要因だ」と分析しています。大蛇行が発生すると、暖流である黒潮が土佐湾沖で高知から離れたり、逆に高知へ近づいたりを繰り返します。これによって、暖かい海水が沿岸近くまで入り込み、暖かい海を好むカツオの群れが来遊しやすくなったのではないかということです。
同じ理由で、暖かい海を好むキハダマグロの漁獲量も、大蛇行発生後には約17倍と大きく増えています。
◆大蛇行前(2010~16年):年間平均6.8トン
◆大蛇行後(2018~24年):年間平均117.1トン
カツオもキハダマグロも、“過去最長”の黒潮大蛇行の期間中に、漁獲量が大幅に増えました。では、大蛇行が「終息」してしまったら、カツオやキハダマグロは獲れなくなってしまうのでしょうか?