人型ロボットの市場規模10年後には5兆円超予測も…中国が開発を急ぐ理由とは?

急速に進む人型ロボットの開発を市民はどう見ているのか?北京市内で聞いてみた。

市民
「人型ロボットに期待しています。私たちのように年をとって子どもがそばにいない場合、トイレに行くときなどに助けてもらえると思います」

市民
「人型ロボットには話したいときに話し相手になってくれることを期待します」

市民
「人型ロボットには家事をかわりにやって欲しいです」

取材に対して、「家事や介護をかわりにやって欲しい」と答える人が多かった。ほかにも、「危険な場所での仕事をロボットにやって欲しい」と話す人もいた。多くの市民が人型ロボットに対する期待を口にした。

【市民は人型ロボットの開発をおおむね好意的に受け止めている】

人型ロボットの開発を急ぐ背景には中国の少子高齢化に伴う労働力不足がある。

中国国家統計局などによると、去年発表された中国の生産年齢人口は約8億5798万人、今後10年間で7000万人近く減ると予想されている。政府としては人型ロボットの開発を急ぎ、労働力不足を補っていきたい狙いがある。

さらに、人型ロボット産業を経済成長の起爆剤にしたい思惑もある。

アメリカの金融大手ゴールドマン・サックスは、人型ロボットの市場規模が2035年までに380億ドル(日本円で約5兆4200億円)に達し、2030年には25万台を超える人型ロボットが出荷されると予測している。

中国国家市場監督管理総局が発表したデータによると、中国でロボット産業に従事する企業は去年12月末時点で45万1700社にのぼり4年間でおよそ3倍に成長したという。

中国政府としては国内の人型ロボット産業を育成し、ゆくゆくは世界市場のシェアを獲得していきたい思惑があるとみられる。

本格化する人型ロボットの開発は「労働力不足の解消」と「経済成長」という2つの期待に応えることができるのだろうか。