中国で進む人型ロボット開発 2025年は「量産元年」 政府も後押し

いま、中国では人型ロボットの開発が急速に進められている。

中国の旧正月=春節の大晦日に放送される歌番組「春晩」。家族みんなが集まり一緒に見るのが定番とされている。この番組に今年は浙江省・杭州市の新興企業「宇樹科技Unitree」が開発した人型ロボットが登場し、人と一緒に軽快なダンスを披露した。映像は中国のSNSでも拡散され話題を呼んだ。「Unitree」が公開した動画の中には人型ロボットがカンフーを披露するものもあり身体能力の高さをうかがわせる。

研究が進められているのは人型ロボットの身体能力だけではない。人が操作しなくても自ら動くことのできる「AIロボット」の開発が注目を集めている。

上海の新興企業「智元機器人Agibot」は人型ロボットの開発・製造施設を去年オープンした。施設内ではエンジニアがロボットに対して、人が日常生活のなかでこなすあらゆる動作を教え込んでいる。お茶をいれる、洗濯物を畳む、といったあらゆる動作についてのデータを収集し、学習させ、人が操作しなくても指示するだけで自動的に動くことのできる「AIロボット」を開発することが狙いだという。

この企業は今年中に人型ロボットを数千台生産することも予定していて、中国メディアは今年が人型ロボットの「量産元年」だと指摘している。

 
【施設では一気に100台近い人型ロボットに対して動作を教え込む(AgibotのYoutubeより)】

政府も人型ロボットの開発を後押ししている。

中国の工業・情報化省は2023年に「人型ロボットの革新・発展」に向けた方針を発表。「人型ロボットは人類の生産や生活様式を根本から変え、グローバルな産業の発展を再編することになる」と、人型ロボット開発の重要性を指摘している。そのうえで、人型ロボットの認知機能をはじめとした核心技術の開発を前進させ、2027年までに「製造能力を大幅に向上させる」という目標を掲げた。

地方政府が人型ロボットの開発に公的資金などを投入する事例も出てきている。

北京市は、1000億元規模(日本円で約1兆9800億円規模)の基金を設立しロボットやAI=人工知能といった産業を支援するという。