6月に入り、間もなく本州でも雨の季節=梅雨を迎えます。晴れる日は少なくなりますが、それでもなお注意が必要なのが「紫外線」です。紫外線は基本的には快晴の日が最も強く、曇りだと快晴の日の6割程度、雨の日は快晴の日の3割程度になるとされています。

ところが、実は快晴の日よりも少し雲が出ていた方が紫外線が強くなることがあるのです。環境省発表の「令和5年度オゾン層等の監視結果に関する年次報告書」には、「雲量(全天に占める雲の割合)が90%の場合でも、太陽に雲がかかっておらず、かつ積雲が存在している場合には散乱成分が多くなり、快晴時に比べて最大で約27%の紫外線強度の増加が観測されたことがある」という記述があります。

積雲とは、高さが2キロ以下くらいの比較的低い所に現れる、綿のような形をした雲です。この雲が太陽の周りに現れると、雲の中の小さな水滴が紫外線を散乱することで、快晴の時よりも余計に紫外線を浴びることになってしまうのです。

積雲は、高気圧が西から近づいてきている時や、よく晴れて気温が高くなる日の午前中に現れやすくなるため、そうした日は特に紫外線対策を万全にしてください。
そして、紫外線は年々強くなってきているというデータがあります。気象庁がつくば(茨城県)で観測したデータによりますと、人体への影響を考慮して算出された紅斑紫外線量という数値は、1990年の観測開始以降、10年あたり4.6パーセントの割合で増えているという結果が出ています。

この傾向は、紫外線を散乱・吸収するエアロゾルと呼ばれる空気中の微粒子が、近年は大気汚染の改善に伴い少なくなっていることが原因と考えられています。紫外線は日焼け、しわ、シミなどの原因になるほか、長年浴び続けていると皮膚がんや白内障などを引き起こすことがあるとされています。梅雨時は雨が降る日も多くなるため、晴雨兼用傘などを活用していきましょう。