県 “シカの保護について検討する委員会と景観保全を検討する委員会の情報共有を密にする”などの方針

前田春香アナウンサー「両者の意見はそれぞれあるんですけれども、取材をしてどのような印象でしょうか?」

金咲和歌子記者「県の主張もその通りで理解できるんですが、奈良のシカはやはり野生のシカであるということが大きなポイントです。そうした意味で、人間のあげる鹿せんべいに依存するような状況が続くと、野生という意味での価値が低くなってしまうのではないかという指摘が出ています」

前田春香アナウンサー「『観光地の景観を守る』と『シカの命を守る』。非常にバランスが難しい問題ですね。今後について奈良県はどのような方針なのでしょうか?」

金咲和歌子記者「県には鹿の保護について検討する委員会と、奈良公園の景観について考える委員会がそれぞれあって、少し縦割りになっている側面があったそうなので、情報共有をより密にしていくという方針を県も持っています。また、ドングリの伐採が鹿の食料事情にどのように影響を与えたかや、そもそも奈良公園内にシカの餌はどのぐらいあるのかを改めて調査する方針です」

河田直也アナウンサー「これまでに280本の樹木が伐採されているということですが、伐採はさらに続くのでしょうか?」

金咲和歌子記者「ドングリについてはプラス20本ほど、合計で約60本を伐採する計画にはなってはいるのですが、今後伐採を続けていくかどうかも、もう一度検討すると県の担当者は言っていました」

前田春香アナウンサー「非常に難しい問題ではありますが、中野先生、これは放ってはおけないですね」

神戸学院大学・中野雅至教授「どちらにも言い分があると思います。僕は奈良県出身ですが、昔からシカは鹿せんべいに寄って来ましたよ。50年前も60年前もそれほど変わっていないと思います。インバウンドの増加や芝生の面積など、ドングリ以外の要因もやっぱりもっと見た方がいいと思います。ドングリの伐採本数だけを見れば、確かに山下知事がおっしゃる考えも無理はないような気もするので、他の要因も見た方がいいと思います」