農水省が「見立て誤った」
野党は国会で「そもそもコメが足りていないのではないか」と小泉大臣を追及しました。
立憲民主党 石垣のり子 参院議員
「2021年から少なくとも3年連続、生産量よりも需要実績の方が上回っている」
人口減少などで需要が減る中、余らないように生産量を抑えてきたコメ。

しかし、2021年には「需要」が「生産量」を上回り、その状態が3年連続で続いています。(出典:農林水産省資料)
小泉進次郎 農林水産大臣
「(農水省が)今まで見立てを誤ったことも事実なんです。『新米が出てくれば大丈夫』だと言って大丈夫じゃなかったわけです」
その上で、小泉大臣は…

小泉 農林水産大臣
「減反政策の在り方、コメを仮に増やすとすればどうあるべきか。令和7年(2025年)度中に基本的な方針を決め、そして令和9年(2027年)度以降の新たな水田政策に結びつける」
政府はコメの安定供給に関する関係閣僚会議を今週にも立ち上げ、コメ価格高騰の要因などを検証することにしています。
「市民に3000円台で販売」自治体独自の取り組み
こうした中、今年の夏、コメを5キロ3000円台で市民に販売することを決めた自治体が現れました。人口7万2000人ほどの大阪府泉大津市。市内の就学前施設や小・中学校の給食では、一昨年から市が栄養価の高いコメを子供たちに提供しています。
記者
「美味しい?」
5歳児
「お米がご飯に変わったとき、おいしい」

このコメは、独自の精米手法によって、玄米の栄養価を残した金芽米という白米です。市はこの金芽米について、市民を対象に、来月中旬からオンラインで販売予約の受付を開始。5キロ税込3500円で、1世帯当たり10キロまで販売することを決めました。
なぜ市民に安くコメを販売することができるのでしょうか?

大阪・泉大津市 南出賢一 市長
「コメ生産をやってる自治体と農業連携をして、直接の流通を作って、農家の収入を上げながら我々の市場価格に左右されない直接流通、ダイレクトサプライチェーンがあるからこの仕組みが実現しています」
市は、全国各地の農家と連携し、精米工場を通して直接供給してもらうことで、中間流通業者をカット。毎年事前に必要な量と価格を取り決め、市独自にコメを確保しています。市長は令和の米騒動を5年以上前から予測していたと話します。

大阪・泉大津市 南出 市長
「コメ不足、『令和の米騒動』が5年以上前から、これは起こると予測して対策してきた。我々が泉大津で確保した50トン分は市場価格に比べて店頭価格に比べて、約2割~3割安い状態でご提供できると思います」
市と連携している農家の1人が、滋賀県東近江市の小林弘子さん。この日は泉大津市の小学校で出前授業を行いました。
滋賀・東近江市の農家 小林弘子さん
「いまお米が不足。テレビでいっぱい流れてるね、古古米・古古古米がスーパーで売られている。私たちも一生懸命作っています」
琵琶湖のすぐ近くにある小林さんの田んぼでは、琵琶湖から魚が入り込み、産卵・成長する環境が保たれています。このことが、農薬をほとんど使っていない証しとされ、安全なコメとして、滋賀県の認証を受けています。

滋賀・東近江市の農家 小林弘子さん
「高い費用を使って手間暇かけて、コメを作ってるから『買ってもらえる』というところがあると、安心してコメを作れるというのが、農家さんの本音じゃないかな。泉大津市さんとの関係が途切れなく、使ってもらえれば嬉しいと思っています」
子供たちに品質の良いコメを食べてほしいという思いで、泉大津市と契約しました。ただ、今後、コメの値段が下がることに不安を覚えています。
滋賀・東近江市の農家 小林弘子さん
「大臣が変わられて、古古米・古古古米を2000円台で売ると言われたじゃないですか。今後のコメの値段、農家にとっては安くされると、農家の方が赤字になってしまうから、それは(緊急時の)備蓄米という感覚で捉えてほしい」
大阪・泉大津市 南出市長
「一つの問題は流通が複雑すぎて、農家の所得が上がりにくい構造になっていたというのが、コメ作りを離れる一つの要因だったと思います。この都市部の生活者と農村が直結して、できるだけシンプルな流通にすることで、農家の所得が上がる構造、そして市場価格に左右されずに、都市部の人間に届く構造が大事だと思います」