「あんこのないアンパン」 与党の法案に批判

そこで必要とされるのが、今回の「基礎年金の底上げ」です。

保険料を納めた期間に応じて、全員一律に底上げされ、その費用は「厚生年金」の保険料を積み立てた財布から出されます。

当初、政府与党は、参院選を前に「厚生年金の流用ではないか」という批判が広がることを恐れて、これを法案から削除していました。

しかし最重要部分を削除した法案について、野党側から「あんこのないアンパン」などとの批判を受け、一転、立憲民主党との修正で復活させたのでした。

底上げの半分は国庫負担も…財源は未定

それでも課題は残ります。

基礎年金の底上げに必要な財源については、厚生年金の積立金を投入しても、半分は国庫から税金などで負担することになっていますが、その分の財源はまだ決まっていないのです。

年金制度に詳しいニッセイ基礎研究所の中嶋邦夫さんによれば、厚生年金の財布の中身が減ったことで「一時的に全員、もらえる厚生年金が減る」といい、その対策も決まっていません。

重要な財源論は先送りした形ですが、この先、持続可能な年金制度を守っていくことができるのでしょうか。