「心は常に自由」…限界を超える創造の旅
リードオルガン奏者として、そしてOriHimeパイロットとして。松原さんは2つの表現手段を通して、多くの人々と心を通わせています。
松原葉子さん
「OriHimeパイロットをやっている時も、これはすごい表現だなと思います。相手にどう伝えるか、どうリアクションするか、どのようにして楽しんでいただくか。音楽と一緒で、音がお客さんの耳に届くまでにはいろんな工程を通らないといけない。ある意味、オルガン演奏と似ているかもしれません」
もし、生きることを許されるなら、伝える側になりたい…。集中治療室での叫びは、活動の原動力となっています。
「この生命をどのようにして燃やしていくのか。全存在をもって、何を語り、伝えていくのか。問われ続けているのです」
再び与えられた声と命について、彼女はそこから生まれる使命感を語りました。
リードオルガン奏者 松原葉子さん
「心は自由でありたい。いろんなことを諦めがちになるけど、いや、そうではない。誰だって、もうダメだ、と思ったところから開かれる新たな扉がやっぱりあると思います。こうだからこうできない、と自分でも思いがちになるけど、いや、そうじゃない。じゃあ、ちょっと視点を変えてみたら、新たな扉が見つかるんじゃないかと」
松原さんの言葉は、私たちの心の奥深くに眠る可能性に光を当ててくれます。困難な状況にあっても、希望を失わず、新たな扉を開き続ける姿は、人々に勇気と感動を与え続けます。
<取材後記>
病棟デイルームに設けられた特別な空間で、松原さんは穏やかな表情で自らの物語を紡いでくれました。その言葉には、生きることの尊さ、人と繋がることの喜びが込められていました。
今回の取材は特別な許可を得て実現したものです。松原さんの面会は「外出扱い」となるため、感染症対策などの観点から、その後24時間の病室隔離措置が必要になります。それにも関わらず病院スタッフの深い理解と協力があり、取材が実現しました。何より、貴重な時間と体力を使って取材に応じてくださった松原さんの寛大な心に感謝申し上げます。(ネットニュース担当デスク)