“自立” とは、依存先が増えること…

音楽活動を再開する一方で、松原さんは医療的ケアを取り巻く社会の課題にも向き合ってきました。

気管切開をし、人工呼吸器を装着している松原さんが外出するためには、痰の吸引など、医療的ケアが認められたヘルパーの付き添いが不可欠です。しかし、その担い手は圧倒的に不足しています。

「医療的ケアのできる、認められたヘルパーさんじゃないといけないのです。その資格を持つ人を探すこと自体が大変なんです。さらに富山県ではその資格を取得するための講習さえ受けられない時期がありました」

松原さんはこの状況を変えるため、仲間たちと一緒に自ら関係各所に働きかけました。富山県内のクリニックに実地研修の協力を依頼し、ヘルパー養成のために奔走。その結果、少しずつではありますが、医療的ケアが可能なヘルパーが育ちつつあります。