改修費用や地価が高騰…保存が困難に
光を取り込み、風通しを良くするための“虫籠窓”(むしこまど)や玄関のひさしに据えられた”鐘馗さん”(しょうきさん)と呼ばれる魔除けの置物。趣深い京町家は京都の町並みの象徴として長年親しまれてきました。しかし老朽化が進み、いま急速に数が減っています。
(京都市民)「町家のいいものがなくなっていってる。(壊すと)取り返しがつかなくなるからね。(Qなくなると残念?)残念やね」
京都御所から歩いて10分ほどの場所にある築75年以上の町家。去年、不動産業者が買いとりました。
(不動産業「八清」 西村孝平会長)「ここが通り庭で奥までずっと土間が続いている。これは昔のままですね」
奥行きがある間取りは「うなぎの寝床」とも呼ばれ、他にも料理の際の煙を逃がすための火袋(ひぶくろ)と呼ばれる吹き抜け構造のある台所など、伝統的な造りが魅力ですが、傷みがひどいところも…
(不動産業「八清」 西村孝平会長)「(Qこの床はずれている?)床がだいぶ沈んでいますよね。おそらくどちらか側の柱が腐って落ちてるんだと思います。配管とか電気配線もやっぱり古いので、設備関係全部やり替えると結構お金がかかります。(改修には)2200~2300万円ぐらいはかかると思います」
人件費などの高騰で改修費用は5年前の1.5倍かかるといいます。さらに…
(不動産業「八清」 西村孝平会長)「所有してても実は固定資産税かかる。維持費がいるわけなんで。放っておけば放っておくほど建物は傷みますから、当然潰すっていうこともある」
改修費用に加えて地価の高騰で固定資産税も高額になることなどから、年間700軒以上の京町家が取り壊されマンションなどに姿を変えているのです。