2018年3月、5歳の女の子が、両親から十分な食事を与えられず、病院にも連れて行かれず、死亡しました。


現役時代、過酷な減量を経験した中広さんは、言葉を失ったといいます。


中広大悟さん
「(減量で)1か月に10キロやせます。この41年間、生きてきて、これを超える苦労はまずないです。もう極限なんですよ。何もする気も起きないし」


「でも命なんか落とさず、次の日、闘っとるんですよ。命を落とすと思ったことはないです、1回も。亡くなった子はぼくよりも何百倍ものしんどさをしてきたんだなと思うと、悲しくてですね。もう考えただけであれなんですが、この事件を転機に虐待やいじめ、不登校や引きこもりなどの社会問題に関わるようになりました」


小林康秀 キャスター
「作業療法士として患者さんを訪問看護している中広さんですが、きょうは取材ができるということで、車で向かってみたいと思います」


担当は、主に精神疾患の患者。病院で看護するのではなく、自ら患者さん宅を訪れます。


作業療法士 中広大悟さん
― やってみて、難しいところは?
「精神面を主にリハビリしているので、その人の意欲を引き出すところから始まるんですよね」


― それは時間がかかる?
「それは、1日・2日でできるような人間関係じゃないですよね」


― そういうときに気を付けていることは?
「やっぱり共感することだと思っています。その人がやってきたことを否定するんじゃなくて、それに共感して寄り添うことが大切だと思う」


この日、訪れたのは、学校に行けず、自宅に引きこもっている19歳の大学生です。

中広大悟さん
「よろしくお願いします。じゃあ、行きますか」