業績好調の背景に「消費者の変化」
そんな『すかいらーくホールディングス』の業績は絶好調だ。

【売上高】⇒2024年は過去最高だった2019年を上回る4011億円。2025年予測は4450億円と、“2年連続で過去最高を更新”する見通し
【株価】⇒2014年の再上場後、“最高値を更新”していて23日の終値は3231円
コロナ禍の2020~2022年は売上高も株価も下落し、谷会長も「会社が潰れるんじゃないかと思っていた」と話すが、早々と回復し業績を伸ばした背景には「コロナ禍で変わった外食への考え方」があるという。
谷会長:
「コロナの期間中にお客様のライフスタイルが大きく変わり、コンビニエンスストアの実力も上がって、“宅配で物を食べるという食習慣”も新しく生まれた。家庭での料理のレベルも飛躍的に上がった。つまりお客様の選択のレベルがものすごく高くなっている。その中で、それにフィットしたメニューを出したり、フィットした業態開発をすることで業績を伸ばしてきている」
賃金アップが「収益増に直結する」

業績好調には、既存店の「客単価」と「客数」が伸びていることも関係しているという。
谷代表取締役会長CEO:
「客単価を上げて業績が上がるならどの経営者もやると思うが、“お客様の納得性がない客単価”というのは逆に衰退に繋がる。この客単価を支持して来店してもらうには、やはり大事な要素があるということ。コロナ禍で選択レベルが上がったが、しっかりできているところには客が集まり、客単価が上がることも容認してもらえる。それが業績に繋がっている」
そして、谷会長が「売り上げや収益に直結している」と断言するのが、【従業員の労働環境】だという。例えば人件費。
【春闘賃上げ率】
▼すかいらーく:4.38%(2023年)⇒6.22%(24年)⇒6.5%(25年)
▼連合:3.58%(2023年)⇒5.10%(24年)⇒5.32%(25年)
※連合5月8日・すかいらーく5月12日時点
ーー食材も人件費も上がり外食産業は大変だと思うが、その中で一番大事なことは賃上げを続けて従業員のやる気をだすということか
谷会長:
「その通り。3年連続満額回答して、パートアルバイトの方も時給が上がっているけど、労働時間も増やしている。その代わり、運営が良くなればお客さんに支持してもらえて来店してもらって売り上げが上がって、結果的に人件費率が逆に下がると。こういう構造」

ーー売り上げをどうやって上げるかということが全ての起点。インフレの時代になってそれが逆にできるようになっている
谷会長:
「むしろインフレの時代だからこそ、店舗の優劣、業態間の競争、企業間の競争は熾烈になっている。その中でお客様の高いレベルの選択の中で、選ばれる側になるかならないかが業績の境目になる」
ーーだから単価が安い「資さんうどん」に変えても集客力があって売り上げが上がると。それを狙っている?
谷会長:
「おっしゃる通り。マーケットが縮小しつつありコストが上がってる時に、“コストカットだけで利益が出る”という経営ではとても追いつかない。つまり付加価値を出してお客様が望むものをもっと作り上げていくと。これが売り上げ、収益に繋がっていく」
(BS-TBS『Bizスクエア』 2025年5月24日放送より)