被爆80年の今年、音楽を通して平和について考えようと世界的な指揮者によるコンサートが長崎市で開かれました。

企画したのは長崎にもゆかりがある伊藤玲阿奈さん、平和の実現に向けた若者との意見交換も行われました。

25日、長崎市で開かれた平和コンサート。合唱には、長崎市民を中心におよそ120人が参加しました。
コンサートを企画したのはニューヨークを拠点に活動し高校時代を長崎で過ごした指揮者・伊藤玲阿奈さんです。

伊藤玲阿奈さん「80年前の被爆者のみなさまの声なき声を聞きながらこのイベントを進めさせていただきます」

音楽や対話を通して平和について考えようと、コンサートでは伊藤さんと長崎の若者が世界に分断を招いている「価値観の違い」をいかに乗り越えるかについて意見を出し合いました。

伊藤玲阿奈さん「色んな考え方、私たちには非常識と思えるような。そういうのどうやって乗り越えて平和に近づけていこうか」

長崎大学医学部・松石歩結さん「バックグラウンドや人種、年齢、全く違う方々、様々な状況でも、対話することによって、お互いを理解できる」

長崎東高校・津田凜さん「同意しなくても意見を理解することが大切なんだな。それが尊重することに繋がっていくのかな」
また、おととしの平和祈念式典で長崎市長が読み上げた平和宣言をもとに作曲された歌も披露されました。

♪オラトリオ「鳥の歌」より「VI.警鐘」から導入部「ナガサキの声」

参加者「感動しました。若い人が育ってくれる、しっかり意識を持ってくれる。これはいいですね」

参加者「(被爆者の声を)ないがしろにしないように語り継いで、音楽で平和を表現して伝えていけたらと思います」

伊藤玲阿奈さん「80年というのは記憶のタイムリミットだと思うんですね。(当時)10歳で被爆された方も、もう90歳ですから。ですから私は、そこに焦りを感じて、この企画をしました。自分自身の中から、心の内から平和を作っていく。それが皆さんに伝わり、コミュニティそして国家へと平和が伝わっていけばいい」

音楽とともに平和な未来へ、このコンサートは来月1日に広島市でも開かれます。