参院選に向けた与野党の攻防 選挙戦の新たな地平線「SNS選挙」の台頭

――党首討論でも、国民民主党の玉木代表が「コメ価格、いつ頃下がりますか、どのくらい下がりますか」と石破総理を追及していましたね。

白鳥浩 法政大学大学院教授:
党首討論を見ていると少数与党というちょっと弱いところをうまく使われているところがあると思います。
日本維新の会の前原さんからは社会保険料の改革ができなかったら不信任出すぞっていうような強い態度に出られてしまったり、国民民主党の玉木さんにはコメの価格をさがらなかったら責任取るのかって言われて取るって言わされてしまったりですね。

出来なかったら本当に責任取らされると思うんですけれども。どうも相手のペースに引きずられている。少数与党の政権運営っていうところがこの党首討論から透けて見えちゃってる。あとちょっとで過半数になるんですけれども、どっちにしてもどれかと組まなきゃいけないっていう。

――野田さんが言った年金制度改革法案の行方も気になりますが。

白鳥浩 法政大学大学院教授:
早速、自民党と立憲民主党で何か徐々に話し合いにつきそうな雰囲気はある。ただ、6月の22日までしか国会の日程がなくて。ちょうどひと月のところで、果たしてこの決められたタイムリミットの中に成案を得ることができるかどうかっていうところは非常に難しいところはあるんではないか。基礎年金の底上げ方式の問題は、そもそも底上げするんだったらどこから持っていくか、流用なんじゃないかという議論もあるわけで。氷河期世代をどうするかっていうことについて、早計な結論が出るかどうかっていうのは少し見ていかないといけないところがありますね。

――もう一つ、消費税減税をめぐる各党の主張はどうみていますか。

白鳥浩 法政大学大学院教授:
もう何かバナナのたたき売りみたいになっててですね。一つ一つ見ていかないとあまりよくわからない。非常に細かいところの違いがあるんですよね。自民党の中でもですねやっぱりこれ減税自民党が言わないと参院選勝てないっていうこともあるんですけれども。党首討論聞いてますとね、おそらく与党・自民党としては自民党は責任政党だっていうことを言ってたわけですね。それに対して減税を言ってる野党っていうのは、減税ポピュリズムだってそういうレッテル貼りで戦おうとしてるんじゃないかという。ただその反面ですね高度高齢社会に対して財源はどこから取るんだっていう長期的な展望っていうのも少し懸念材料ではあるわけですね。ですから多分その責任制度を、つまり消費税っていうのを維持していく自民党とそうではない減税ポピュリズム政党というレッテルを貼っていく、それが今後のですね選挙の一つのキーワードになってくるんではないか

――今回の選挙もおそらく昨年と同じようにこのSNS、あるいは動画配信サイトっていうのが大きな影響を及ぼしていくっていうふうに考えられますか。

白鳥浩 法政大学大学院教授:
国民民主党が群を抜いてやっぱり登録者数が多いですね。何よりもですねやっぱり玉木さんのこのSNSであるとかYouTubeの使い方ってのは非常に上手いですね。非常に短い動画をですね流して“所得を増やすよ”みたいな、何かささやくように言っていくっていうなんだろうな、何かちょっと見ていてくせになる動画なんですよね。
既存政党はですね、やっぱり自分の組織力があるのであんまりSNS使うのに長けてないんですね。やっぱりこういうあまり組織力のない国民民主党みたいな、あるいはれいわであったりですね、あるいは日本保守党みたいな参政党もそうですけどもそういったところをこのSNS選挙っていうのにかなり賭けてるところがあるというふうに思います。
年代的、世代的な違いというのはあって比較的高齢者中心のシルバー民主主義と比較的若年層中心のSNSとか動画配信サイトを使ったリモートワークの延長みたいなリモート民主主義みたいなのが今走っている。両方走っている状況の中で、そのせめぎ合いの中に今、この参院選があるんじゃないかと思うんですね