最近は『農水族議員』から選出の農水大臣

 小泉氏は今回新たに農水大臣となりましたが、“異例の起用”という見方があるようです。日本の食料の安定供給や農産物の生産・輸出入に関わる農林水産省。そのトップ人事の特徴を山下氏に聞くと、1980年代半ばまでは、農業から距離のある人物、あまり農業に詳しくない人物が選ばれていたということです。理由は、総理がコントロールしやすいため。ただ、その後、1980年代後半からは、国際交渉が必要という面もあり、『農水族議員』から選ばれるようになったということです。

 この族議員とは、特定の政策分野に強く、関係省庁に働きかける国会議員のことで、農水族議員は、農業に従事する人たちに近い議員、農業分野に強い議員らを指します。族議員にはほかにも、道路族・防衛族・厚労族・文教族などがあります。選挙では、それぞれに関する業界団体の支持を受けていることが多いとされます。

 山下氏は、江藤前大臣もコメ不足を認めず流通のどこかで滞っていると主張していたことや、備蓄米を放出しても価格が下がらないようにするなど、農水族の意向に沿った仕事をしたのではと指摘します。