注目の人物にインタビューする「この人に聞く」。アメリカの大手企業などでビジネスの第一線を走ってきた枕崎出身の田代祐子さんです。

国や企業の競争を勝ち抜き、自分の可能性を最大限に発揮するためのヒントは?
キーワードは「一歩を踏み出す勇気」と「自分の棚卸し」です。

先月、鹿児島市で開かれた講演会。

(講演・田代祐子さん)「今、激動の世の中。コロナがあり、震災があり、トランプ大統領が出てきて『世の中どうなるの?』という時代。大きな目で客観的に見直す非常にいいチャンス」

およそ100人の経営者を前に講演した、枕崎市出身で東京在住の田代祐子さん(71)。

19歳でアメリカ人と結婚してアメリカに渡り、子育てをしながら26歳でオハイオ州の大学に入学。卒業後入社したアメリカの大手会計事務所の共同経営者や、宮崎のフェニックスリゾートの最高財務責任者などを歴任し、現在は日本マクドナルドホールディングスの社外取締役などを務めています。

ビジネスの第一線を走ってきた田代さん。しかし、子ども時代は内気で、高校では「落ちこぼれた」と話します。

(田代祐子さん)「先生や親は『勉強して大学に入らなきゃ』と、そこへの反動はあったと思う。“落ちこぼれ”てしまって、仕方なくアメリカに行って。一生懸命勉強したら『アメリカ人に負けない成績を取れるじゃない』と」

田代さんは2000年、45歳で帰国。当時世界最大の総合電機メーカーといわれたゼネラル・エレクトリックの日本法人で女性の人材育成に携わりました。

2016年からは、日本のゴルフ場運営大手、アコーディア・ゴルフのトップに就き、誰もが気軽に楽しめるゴルフ場を目指しました。今、力を注ぐのが、ゴルフを通じた子どもたちの成長の支援です。

(田代祐子さん)「協力してゴルフをベースにしたゲームをさせる。『協力するってどういうこと?』『正直にスコアをつけるってなぜ必要?』そういうことを子どもに問いかけながら教えていく。少しでも日本の社会を変えていく小さな一歩になれば」

「多様な人々が活躍できる社会にしたい」と話す田代さん。

国や企業が国際競争を勝ち抜くためには、「女性の活躍」が欠かせないと考えています。そのために必要なのが、「一歩を踏み出す勇気」です。

(田代祐子さん)
「『子どももいるし家庭もある』、『会社はこうだし、保育園も作ってくれない』と言っている限り何も進まない」

「『私こうした方がいいと思う。やってもいいですか?』という声を上げていくというのも必要」

もう1つの鍵が、自分を客観的に見てみる「自分の棚卸し」です。

(田代祐子さん)
「『今、子どもがいる』、『母が近くにいるかいないか』、『夫の家庭がどうなのか』など、いろんな状況がある。5年後、10年後にどうなるのか。20年後、自分が何をしていきたいかを書き出してみる」

「人生も企業も変わっていくために、現状把握。『棚卸しをする』ということ」

一歩踏み出す勇気と、自分の棚卸し。人生や世界観を変えるきっかけになるかもしれません。