世界の原油価格は下落中!補助金なしでも安くなる?

さて、政府の補助金とは別に、世界の原油価格そのものが下落傾向にあり、ガソリン価格が今後さらに下がる可能性が指摘されています。世界の原油価格の指標は、一時1バレル120ドル前後まであがっていましたが、現在はその半値近い60ドル程度まで落ち着いてきています。
下落の背景や要因について、2人の専門家が異なる視点から分析しています。

桃山学院大学の小嶌正稔教授は、長年「スイングプロデューサー」として原油価格を調整してきたサウジアラビアの戦略転換だと指摘します。サウジは現在増産へと舵を切っているといいます。小嶌教授によれば、加速する世界の脱炭素化の流れに対する危機感があり、将来的な石油資産価値の低下を見据え、また、石油依存からの脱却を目指す国内の産業構造転換に必要な資金を確保するための増産とみています。
エネルギー・金属鉱物資源機構の首席エコノミスト、野神隆之さんは、アメリカのトランプ大統領が影響しているとの見方です。

野神氏によれば、トランプ大統領に配慮して、サウジアラビアとロシアといった主要産油国が増産しているのではといいます。トランプ大統領は物価抑制のために原油価格の安定を望んでいるとされ、サウジアラビアはイランとの緊張関係の中でアメリカによる安全保障の確保を期待し、ロシアはウクライナとの仲介をめぐり「貸し」を作りたい意図もあるのではないかと、みています。
いずれにしても国際的な要因が日本国内のガソリン価格に影響を与えることもあるといい、補助金だけで下がっているわけではない、ということも私たちは知っておくべきでしょう。この複雑な仕組みを理解することが第一歩です。(2025年5月21日 MBS「よんチャンテレビ」)