■ネットを使って学ぶリソースを探せるように・・・ 2030年までに全学校に高速インターネットの無料提供を計画

4年生のジゼルさんが、タブレットを使った理科の授業を受けていました。人体の仕組みについてタブレットの解説動画と組み合わせて理解を深めていました。

先生「ジゼル、君の担当は?」
ジゼル「筋肉です」
先生「もう一度、タブレットを見てごらん?」
ジゼル「(検索して)これだ、これだ」

国語や美術、テクノロジーなどの授業でタブレットが使われています。衛星インターネットを1年間使って、どんな効果があったのでしょうか。

ハビエル先生
「ここに住む私たちにとっては画期的な変化でした。彼ら自身から、学びが生まれるようになりました。学ぶリソースを探せるようになったのです」

また静かで控えめだった子どもたちが自己表現をするようになったといいます。

ハビエル先生
「都会の子と田舎の子の違いが前ほどなくなりましたね。衛星ネットサービスは、子どもたちに光を与えました。閉ざされたままだった環境に、扉を開いてくれました」

学習も表現力も、大きく成長した一人が、ジゼルさんです。

ジゼルさん
「(タブレットで)寓話とか、私たちが知らない歴史上の人物などについて、グーグルとか、インターネットで情報を探しています。(Q家にインターネットはありますか?)無いです」

彼女の帰宅に同行しました。叔父が毎日、漁船で送り迎えをしています。船を乗り継ぎ、1時間近く。こうした道のりは、特に冬は苛酷だといいます。崖を登った先に、自宅はありました。

それでも4年間通い続ける娘に母は…

ジゼルさんの母
「(ジゼルは)とても成長しました。私たちにも、いろいろと教えてくれるんですよ。(…涙に)全力で4年生まで行ってくれました。ここの暮らしは本当に困難なんです」

厳しい暮らし。だからこそ、教育への強い思いがあります。

ジゼルさんの母
「私たちは教育を受けていません。娘には大学まで行って欲しい。私たちができなかったことですから。(学校のインターネットは)子どもたちにとって良いと思います。ジゼルはすでにたくさんのことを学んでいます」

インターネットを使った教育で子どもの成長を感じていました。「インターネットの有無」が大きく変える、“子どもたちの未来”。社会はどう対応すべきでしょうか。チリでは、2030年までに全学校に高速インターネットを無料で提供する計画です。

チリ・カトリック大学 アルヴァロ・サリナス教授
「子どもたちが創造的にデジタル世界に参加できるように、その機会を公平に与えることは社会全体の責任なのです」