北口が記録にこだわる理由は?

北口は記録へのこだわりが比較的強い選手である。今季の目標はアジア記録と東京2025世界陸上の金メダルだが、昨年のパリ五輪優勝記録が、近年の五輪では低かったことも気にしていた。23年のブダペスト世界陸上では、「ワールドリーダー(そのシーズンの世界トップ記録を持つ選手)なのでプレッシャーがあった」と話したこともあった。

GGPの試合後のインタビューにも、次のように話していたのが印象に残った。

「次の試合は今季の持ち記録が高い選手と戦います。自分はオリンピック金メダリストとか、世界陸上金メダリストとか言われますが、その時に一番投げている人が強いと思っているので、挑戦者の気持ちで次は臨みたい」

北口の特徴は、間違いなく勝負強さにある。記録は持っていても大きな試合で勝てない選手も多く、金メダリストは記録を持っていることより価値があるという見方も多い。すでに2大会の金メダルを持っている北口は、記録を意識した方がモチベーションを上げられるのかもしれない。そして記録を出すためには、トレーニングや投てき技術が重要になる。

だから真っ直ぐに飛ばないやりについて、何度も言及する。

「完璧ではないのに64mまで飛んだので、そこは自信になります。まだちょっと真っ直ぐではなかったので、もう少しやりにエネルギーが乗れば、もうちょっと飛ぶかな。目指している記録に近づける」

シーズン2戦目のGGPで、課題解決の糸口がかなり明確に見えてきた。

(TEXT by 寺田辰朗 /フリーライター)