どんな被害がある?メスだけで増える?

ーこの「イネミズゾウムシ」はどんな被害をもたらすのでしょうか?

(東洋産業 大野竜徳さん)
「そろそろ、田んぼに水が入り、田植えが始まる頃。どこからともなく現れたイネミズゾウムシの成虫たちは田んぼにダイブしてきます」

「冬の間は田んぼの周辺の雑草の根元や近くの落ち葉の下などでじっと越冬してこの時を待っていました」

「田植えまでの間、ひもじい思いをしてきた成虫にとって、イネはごちそうです。さっそく苗に取りついて柔らかい葉や茎をガリガリ食べ始めます」

【画像②】は、イネミズゾウムシの被害を受けた稲。一部は枯れかけてしまっています。

「白っぽくまだら模様に見える食害、見た目にはちょっとしたかじり傷なのですが、大発生した集団にやられると苗がぐったりしたり、最悪枯れてしまったりすることもあるそうです」

ー一匹ずつの食害は小さいけれど、コメの作柄にも影響する害虫なのでしょうか。

(大野竜徳さん)
「イネは、少々齧られたくらいではそう簡単には枯れません。厄介なのは幼虫です。イネミズゾウムシの卵は稲の葉に産み付けられます」

「ところで、日本のイネミズゾウムシではなんとオスが確認されていません。アメリカからやってきたといわれる日本のイネミズゾウムシのご先祖様は、オスがいなくても単為生殖といってメスだけで増えることができるタイプの個体群だったようです(原産地ではオスもいます)」

ーどんどん増えていくというわけですね。

「はい。成虫はすべてお母さんゾウムシ。すべての成虫が毎日数粒ずつ、一か月くらいイネに卵を産み続けます」

「そこからふ化した幼虫は田んぼの水面にポチャンと落ちて、泳いで自分の餌になる場所に向かっていきます」