2025年「イネミズゾウムシ」が例年より早めに出てきている?

農水省が5月15日に発表した病害虫発生予報によりますと、イネミズゾウムシは、東海、中国、四国、北九州は例年より「やや多い」と予想されています。

ー今年のイネミズゾウムシの動向が気になります。

(東洋産業 大野竜徳さん)
「2025年、みなさんの周りも随分温かくなったと思いますが、各地で『イネミズゾウムシが例年よりも早めに出てきている』という報告があります」

「大発生の予兆なのか、それともただ早いだけなのかによりますが、すでに各地で問題を起こす可能性があるといわれています」

「と、ここまで、イネミズゾウムシの私たちへの被害のお話をしてみましたが、少し視点を変えてみます。イネミズゾウムシは日本に定着している虫ですので、0にすることは不可能です」

「ということはある程度はいても当たり前の虫です。それを『環境のバロメーター』として考えてみましょう」

「イネミズゾウムシが多い年は、イネミズゾウムシにとって『越冬環境がよかった』年とも言えます」

「いろいろな要因があるでしょうが、畦や田んぼの周辺の環境整備が影響したのかもしれません」

「除草剤をあまり使わずに雑草が残っていて、越冬場所が増え気味だったのかもしれません」

「殺虫剤に頼りすぎた水管理や生物多様性を無視した農法がまかり通ったのではないのかもしれません」

【画像】イネミズゾウムシの成虫

「イネミズゾウムシも自然の一員です。あまり大量に発生してもらっては困るのですが、まったくいない、ということはあり得ません」

「今年は早めにイネミズゾウムシが出てきた、という情報を全国各地の調査員さんが早めに警鐘を鳴らしてくれれば、被害が広がる前に食い止める手段もありますので、農家の皆さんは対策を早めに打ってくださっていることでしょう」

「イネの害虫という敵ではあるけれど、ただの悪者ではない。イネミズゾウムシは、田んぼの周辺の環境を教えてくれる生き物でもあるのです」

「現在、イネミズゾウムシの心配をし、対策を立てている農家のみなさま、発生状況を調査され、どういう方針で対策を立てたらいいかを考えられている方々の苦労があって、田んぼの環境も私たちの食卓もともに守られていることに感謝しましょう」